中緯度の準定常波と本邦の梅雨との関係について

書誌事項

タイトル別名
  • Quasi-Stationary Waves in Mid-Latitudes and the Baiu in Japan

抄録

1979年における北半球緯経度格子点の5日平均500mb高度の緯度圏平均からの偏差値と気象衛星の画像による雲解析を用いて,梅雨の時間経過と準定常場の時間変動の間に深い関係のあることを論じた。5月から8月までの間に,アリューシャン列島から本州東岸に達する準定常な気圧の谷はかなりの時間をおいて西方へ不連続に移動する。この長波の谷の東側には温帯低気圧に特有な Major cloud システム(MCS)が頻繁にあらわれ,谷と低気圧組織の発達の問に密接な関係のあること,及び谷の西進と共に低気圧活動域の西方移行が結論される。この準定常の大きな谷とその東側の低気圧活動域(MCSの出現域)の西方移行と日本の梅雨の推移は次のように関連している。沖縄及び揚子江流域の梅雨時には谷が東経140度にあって,この時の梅雨性天気は30度以北に北上できない。MCSの最多出現域は東経140度の東方に在る。<br>140度の谷が120度に移ると本州とその近海は MCS の最多出現域に変わり,本州は梅雨に入る。東経120度の谷は7月下旬に急に弱まる。従って,その東側の低気圧活動も弱まり,本邦は梅雨明けとなる。500mbの大規模場からみると梅雨が沖縄地方から北上するという考えよりも,準定常の谷の西方移行で本邦の梅雨の入り,谷の衰弱で梅雨の明けが説明できる。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 63 (6), 983-995, 1985

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (16)*注記

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参考文献 (4)*注記

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