大気中におけるインフラソニック波の長距離伝播に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of the Long Range Propagation of Infrasonic Waves in the Atmosphere
  • (1)熱圏ダクト内を伝播する火山性インフラソニック波の観測
  • (I) Observation of the Volcanic Infrasonic Waves Propagating through the Thermospheric Duct

抄録

桜島の爆発によって発生するインフラソニック波が約700Km東方の愛知県刈谷市においてしばしば観測されている(Tahira,1982)。桜島から伝播するインフラソニック波は刈谷では1分程度の継続時間をもつwave trainとして観測されるのが普通であるが、東方への長距離音波伝播が下部熱圏と地表の間のダクトに限られる夏季、2ないし3個のピークとディップからなる極めて周波数の低い(0.08Hz程度)波がしばしば記録される。ここでは、1984年及び1985年夏の91回の爆発によって生じたインフラソニック波の記録を調べ、特にこのような低周波のシグナルに照準をあててその性質を詳しく調べた。その結果、観測される波形の特徴からシグナルの多くは3つのタイプに分類され、いずれもその周期が火口から約5kmの地点で観測される波の周期2.45秒に対して5ないし6倍に引き伸ばされていることが示された。<br>また、大気潮汐による風の成分をも含めた大気モデルを用いて音線解析を行ってその走時を計算し、それぞれのタイプの波の観測された走時と比較した結果、上記の低周波シグナルの波形の分化は桜島から刈谷への伝播の際に熱圏高度で音波が反射する回数によって生じ、大半のシグナルは2同反射の後に刈谷に到達することが示された。<br>これらの結果から、遠距離で観測されるインフラソニック波の波形の決定には熱圏高度における非線形効果による波の引き伸ばし、及び音波の反射高度付近で通過するcausticにおけるπ/2の位相変化が大きな役割を占めていることが示唆される。

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参考文献 (13)*注記

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