オゾンの南北半球の非対称分布の形成に於けるプラネタリー波の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Planetary Waves in the Formation of Inter-Hemispheric Asymmetry in Ozone Distribution
  • オゾンの南北半球の非対称分布の形成に於けるプラネタリー波の役割〔英文〕
  • オゾン ノ ミナミ キタハンキュウ ノ ヒタイショウ ブンプ ノ ケイセイ ニ

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説明

冬期の成層圏の子午面循環とオゾン全量の季節変動の南北非対称性の形成にはたすプラネタリー波の役割を、全球セミスペクトルモデルによる数値実験によって調べた。観測された月平均帯状風を初期値として用いた短期間(1カ月間)の一連の数値実験の結果から、プラネタリー波が南北半球で非対称な子午面循環を誘起し、オゾン全量の半球間の異なる緯度分布の形成に寄与していることが示される。冬季南半球でのプラネタリー波の増幅は、下降流域が中緯度下部成層圏に集中する子午面循環を誘起し、結果として中緯度域でのオゾン全量を増加させる。一方、冬季北半球の子午面循環は高緯度成層圏にまで侵入し、冬季全体を通じてオゾン全量の極域での極大の形成に寄与する。南半球では冬季後半から春先にかけて、下降流帯の高緯度へのシフトとともにオゾンの最大増加域もしだいに高緯度へ移動することが示され、南半球のオゾンの中緯度極大域(subpolar maximun)の季節変動がプラネタリー波による子午面循環の変動に支配されていることが示唆される。TEM理論に基づく診断の結果、この非対称な子午面循環は、伝播場(平均東西風)の南北半球の違いに帰着されることが示された。南半球では、プラネタリー波は屈折率の最大域に沿って赤道方向へと伝播し、中緯度成層圏にEPフラックスの集束域を形成する。また、オゾン分布の非対称性の度合いは、強制するプラネタリー波の振幅、波数、位相速度などに依存し、波数1の停滞波の場合に最も顕著であることがわかった。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 72 (5), 653-670, 1994

    公益社団法人 日本気象学会

参考文献 (26)*注記

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