ユーラシアのブロッキング高気圧の華中や日本の梅雨に対する影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Blocking Anticyclones in Eurasia in the Rainy Season (Meiyu/Baiu Season)

抄録

梅雨期におけるユーラシア大陸の中•高緯度に出現するブロッキング高気圧の出現特性とこれらの梅雨前線に対する影響について統計解析を行った。さらに、1982年6月の後半についての事例解析も行った。<br>50-70°N/21-160°Eの範囲内でみると、ブロッキング高気圧は31-60°E、91-110°E、131-150°Eの3つの地域に多く出現する。最も頻度が集中しているのは131-150°Eで、91-110°Eの地域が第2番目に卓越する。<br>梅雨期におけるB地域(50-70°N/81-120°E)でのブロッキング高気圧の継続日数は、日本の梅雨期の日数(number of persistent days of Baiu)と正の相関がある。一方、梅雨期におけるC地域(50-70°N/121-160°E)でのブロッキング高気圧の継続日数は、華中の梅雨期の日数(number of persistent days of Meiyu)及び梅雨期の降水量(rainfall of Meiyu)と正の相関がある。<br>統計解析の結果によると、Meiyu前線のすぐ北方における対流圏下層の寒;気域の存在は華南における下層南風の増加とともにMeiyu frontを活発化させる重要なfactorであるが、 C地域のブロッキング高気圧の存在は、華中の前線帯のすぐ北方への寒気侵入時にみられる1つの代表的なパターンであることが分かった。更に、1982年6月の事例解析によると、C地域のブロッキング高気圧の発達はその後面の50°N/100-110°E付近の傾圧不安定波の発達と平行して起こり、この低気圧の寒冷前線の南下に伴って華中の前線帯へ下層寒気が南下した。つまり、C地域でのブロッキング高気圧発達過程において下層寒気の南下も見られたことになる。<br>一方、6月のオホーツク海、日本東部の太平洋上を経て熱帯地域へ至る波列(wave train)が解析された。この現象はC地域のブロッキング高気圧の発達とともにロスビー波の伝播によって生じたものと考えられる。その forcing processes はまだ明らかではないが、1982年6月の後半の事例解析は、波がバイカル湖からオホーツク海にかけて増幅されたことを示唆している。この波の伝播により、日本以東の海洋上に負の高度偏差がもたらされ、梅雨前線は南に移動したことが示唆された。本論文の結果は Meiyu frontと Baiu front の気候学様相に対し、 C地域のブロッキング高気圧が異なる影響を及ぼすことを示唆している。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 70 (5), 929-951, 1992

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (16)*注記

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参考文献 (18)*注記

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