熱帯の大規模渦擾乱に伴う赤道クラウドクラスターの西進と分裂

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  • Westward Movement and Splitting of an Equatorial Cloud Cluster Associated with Tropical Large-Scale Vortices
  • Westward Movement and Splitting of an E

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抄録

TOGA-COARE特別集中観測期間中、赤道太平洋域において西進する顕著なクラウドクラスターが1992年11月10日から13日にかけて観測された。11月の熱帯域の雲活動はIOPの他の期間に比べて活発なものではなかったが、この期間においても東進するスーパークラスターがみられた。西進するクラウドクラスターはその階層構造の一つと考えられる。西進する熱帯大規模渦擾乱に伴い赤道域で卓越する西風に抗してこのクラウドクラスターは西進し、その間に二つのクラスターに分裂した。そのうちの一つのクラスターはさらに西進し、もう一つは経度方向にはほとんど停滞した。<br>このクラウドクラスターの西進と分裂のメカニズムを明らかにし、大規模擾乱との関係を調べるため数値実験を行った。予報実験においてクラウドクラスターが赤道上で発達し、さらに西進しながら二つに分裂するのがシミュレートされた。このとき西進する大規模渦が西進するクラウドクラスターに伴っていた。赤道の西風は大規模渦の循環の一部として形成され、その強い西風により赤道域の潜熱フラックスが増大した。この海面からの多量の潜熱フラックスはクラウドクラスターの形成と維持に重要と考えられる。分裂したクラウドクラスターのもう一つの部分は、赤道についてほぼ対称な双子低気圧の北半球側の渦によって維持されていた。双子低気圧は経度方向にほとんど停滞し、その結果それに伴うクラウドクラスターもほとんど停滞した。<br>データ解析と数値モデリングの結果に基づき以下のことが結論された。本論文のクラウドクラスターの発達と西への移動は、西進する大規模渦によるものである。またクラウドクラスターの分裂は、西に伝播する大規模渦と停滞する双子低気圧の異なる位相速度により起きたと考えられる。

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