• Goring D. A. I.
    Physical Chemistry Division, Pulp and Paper Research Institute of Canada

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リグニンは木材中の主要高分子成分の一つであるという観点からこの一文を要約してみよう。普通行なわれているような脱リグニン方法で木材を抽出すると, リグニンは高分子電解質の形で可溶性になり溶出してくる。このときのリグニン分子の形はほとんど球形に近く, その大きさは非常にまちまちである。リグニンスルホン酸をコロイド分散剤として使用するときの効果は, リグニンの分子量と高分子電解質としての性質に大きく支配される。多くの高分子化合物と同様に, リグニンは温度が上ると軟化される。リグニンの軟化点は水分の吸収とともに著しく低下し, この効果はメカニカルパルプ, ケミカルパルプの製造工程および新聞紙の乾燥工程などに重大な影響を与えるものと思われる。<BR>紙パルプ工業の将来は, 他の高分子工業とある面では協力し, またある面では競争せねばならないことと思われる。したがって紙パルプ産業の技術者は, 高分子化学の基礎的知識を取入れることが必須となってくる。この一文は, リグニンは高分子化合物であるとの観点から紙パルプ工業におけるいくつかの問題点について考えてみた訳であるが, このような高分子科学的な処理方法が如何に適切なものであるかを読者諸士に認識して戴ければ幸である。

Journal

  • JAPAN TAPPI JOURNAL

    JAPAN TAPPI JOURNAL 19 (1), 3-10, 1965

    JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY

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