書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristics and Potential Applications of Cellulose Acetate
- サクサン セルロース ノ トクチョウ ト シン テンカイ
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説明
溶媒可溶性の酢酸セルロースは,セルロースをアセチル化し,次いでこれを部分脱アセチル化することで調製され,膜分離,写真フィルム,液晶ディスプレイ,衣料用およびその他繊維として広く使われている。本稿では特に,酢酸セルロースの特異な表面物性に焦点を当て,最近の用途展開を紹介し,また,今後の展開を議論する。<BR>酢酸セルロースの最近の用途展開として浄水用中空糸膜を紹介する。際立った負のゼータ電位を理由として,酢酸セルロース膜は他素材の膜に比べて,河川水懸濁物による膜細孔の目詰まり(ファウリング)に対して高い抵抗性を示し,安定的に高い水質の浄水を提供している。河川水懸濁物は一般的に負に帯電しているので,酢酸セルロース膜との間で反発力が作用すると予想され,これが素材としての酢酸セルロースの訴求点となっている。<BR>巨視的系の相互作用に関するvan Ossらの理論(VCG理論)によれば,酢酸セルロースは一つには,他の汎用高分子化合物に比べて高い電子受容性(ルイス酸性)を有することで特徴付けられる。電子受容性の酢酸セルロースは,電子供与性の金属やカーボン材料と高い親和性を示すことが予想される。リチウムイオン電池などの電極は,金属材料とカーボン材料を結合させることで製造される。このような結合材(バインダー,のり)として酢酸セルロースは優れた特性を発揮することが期待される。<BR>酢酸セルロースとカーボン材料の親和性を検証する一環として,多層カーボンナノチューブ(MWNT)を含む酢酸セルロースフィルムを調製し,導電率を測定したところ,他の汎用高分子を用いた場合に比べて高い導電性を示した。これは,期待した通り電子受容性―供与性の相互作用により,MWNTが酢酸セルロースマトリクス中で高度に分散していることを意味している。弊社は,このような酢酸セルロースの特徴を踏まえ,新しい用途展開を提案している。従来の溶媒溶解性酢酸セルロースに加え,水溶性酢酸セルロースも準備している。
収録刊行物
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- 紙パ技協誌
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紙パ技協誌 68 (9), 1018-1024, 2014
紙パルプ技術協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681495603712
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- NII論文ID
- 130004705764
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- NII書誌ID
- AN00379952
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- ISSN
- 18811000
- 0022815X
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- NDL書誌ID
- 025779934
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可