TEMPO酸化CNFの紙製品への適用

  • 河崎 雅行
    日本製紙株式会社<sup> </sup> 研究開発本部 CNF事業推進室
  • 石塚 一彦
    日本製紙株式会社 研究開発本部 総合研究所
  • 川﨑 賢太郎
    日本製紙株式会社 研究開発本部 総合研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Application to TEMPO Oxidized Cellulose Nanofiber for the Paper Product
  • TEMPO サンカ CNF ノ カミセイヒン エ ノ テキヨウ

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説明

<p>当社は木質バイオマスを利用したバイオケミカル分野の研究開発に注力している。その中で,セルロースナノファイバー(CNF)の開発については,段階的に量産設備を整え製造面での実用化を積極的に進めている。また,CNFの用途開発に関しては抗菌・消臭シートを開発し紙おむつとして商品化したが,その他にも樹脂やゴム等の補強材、ガスバリアフィルムなどの機能性フィルム,吸着剤,増粘剤など幅広い分野での用途開発を検討している。紙製品での利用に関してはコスト面での課題はあるものの,製紙会社の自社内での製品化が可能で早期実用化が期待される。</p><p>TEMPO酸化CNFを製紙材料として紙に配合して紙製品への適用について検討している。TEMPO酸化CNFを配合(内添,外添)すると,紙の透気抵抗度や剛度などが向上する効果が見られ,バリア材や補強材としての利用が考えられた。バリア材としては,包装材料の分野や剥離紙原紙など高い透気抵抗度が求められる加工紙の分野などでの利用,補強材としては低坪量紙,高灰分紙など引張強度や剛度の低下が懸念される紙用途での利用や板紙や段ボール原紙などより強度が求められる分野での利用が考えられた。また,TEMPO酸化CNFは金属イオン交換により表面改質が容易であり,様々な機能紙への利用も考えられた。今後は実用化に向けて,まずはTEMO酸化CNFの特徴を活かした用途を見出すとともに量産化技術の確立の検討を進め,品質に見合ったコストにすることに注力する。紙・板紙分野は用途によっては使用量が期待できるため,今後注力すべき分野の一つとして考えている。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 71 (4), 394-398, 2017

    紙パルプ技術協会

参考文献 (5)*注記

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