DIP粘着異物の解析と対策

  • 扇谷 浩
    三菱製紙株式会社 八戸工場 原質部 パルプ課

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis and Countermeasures against Stickies Occurring at Deinked Pulp Process
  • DIP ネンチャク イブツ ノ カイセキ ト タイサク

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抄録

三菱製紙(株)八戸工場では,一品色上古紙を主原料とした高白色度のDIPを製造している。近年,その調達量が不十分になってきたことから,雑誌古紙やケント等も原料として使用せざるを得ない状況となっている。雑誌古紙の使用の増加に伴い粘着異物の発生が顕著になり,抄紙工程での欠点の発生が懸念されたため,粘着異物の低減対策に取り組んだ。<BR>粘着異物の増減を定量的に評価することができる測定方法を検討し,DIP各工程での粘着異物の量や大きさ,各除塵設備での除去率等を評価した。その結果,粘着異物は後工程になる程サイズが小さくなり,粘着異物の主要な発生源であると考えられるホットメルト接着剤は,苛性ソーダや脱墨剤の存在下で軟化,微細化することが分かった。このことは,脱墨工程において添加される薬品による化学的な作用でも粘着異物を生じていることを示唆している。<BR>そこで,脱墨工程後の精選スクリーンの強化による粘着異物除去率の向上を検討した。しかし,容易には実現できないため,脱墨工程のフローテーターに着目した。問題となる粘着異物の大きさは0.1~0.3mm2の投影面積であり,フローテーターでの除去に適したインク粕のサイズよりも大きいが,実機の検証においてこの大きさの粘着異物が除去されていることを確認した。<BR>脱墨剤の変更や操業管理の強化によるフローテーターでの粘着異物除去率の向上を図った。この結果,除去率が28%から38%に向上し,DIP中の粘着異物を25%削減することに成功した。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 66 (10), 1103-1107, 2012

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (6)*注記

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