ハイパーセルフローテーターの操業経験

  • 保坂 達巳
    日本製紙株式会社 北海道工場 勇払事業所 原質課

書誌事項

タイトル別名
  • Operating Experience of Hyper-Cell Floatator
  • ハイパーセルフローテーター ノ ソウギョウ ケイケン

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抄録

国内の古紙利用率は2009年には63%に達し,更なる古紙利用率向上に向けての古紙の高度利用が進められている。一方,紙向けで消費される古紙品種の6割以上を占める新聞古紙では,新聞用紙でのカラー印刷対応等の高品質化への取り組みの中で紙中灰分の上昇など紙質面での変化が見られ,古紙処理工程におけるフローテーターに求められる役割もかわりつつある。従来の目的であるインキの除去をより効率的に行うとともに,灰分やスクリーンで除去困難な小粘着異物などの高い除去性能が必要となってきた。<BR>そこで,これらの異物(インキ,灰分,小粘着異物)に対する除去性能を既存F/Tより向上させた新型F/Tの開発に国内設備メーカーである相川鉄工株式会社と共同で取り組み,その開発に際しては「フローテーター内のセル間の原料移送方式」,「セル毎のエアー供給量調整」,「フロス層への泡の移動を考慮したタービン配置」および「操業性を考慮したエアー給気管洗浄方法」に重点を置き検討した。その結果,6セル構造のハイパーセルフローテーターの開発に至った。<BR>当社北海道工場勇払事業所DIP工程へ導入した当初は,フロスの排出状況に問題が生じたが,フロス排出部の改造等によりこの問題は解消された。その後の稼働状況では,インキや灰分の除去効率の向上によりDIPの使用が促進され,古紙の利用推進(古紙使用量:14%増)を果たすことができた。更に薬品原単位の削減(苛性ソーダ:約3割減,珪酸ソーダ:約2割減,過酸化水素:全量削減)やオペレーターによるエアー供給部の洗浄作業の解消など操業性の改善も実現した。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 66 (10), 1088-1092, 2012

    紙パルプ技術協会

参考文献 (3)*注記

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