第二種吸収ヒートポンプによる排熱利用

書誌事項

タイトル別名
  • The Waste Heat Utilization by an Absorption Heat Transformer
  • ダイニシュ キュウシュウ ヒートポンプ ニ ヨル ハイネツ リヨウ

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説明

本報では,低温排熱の利用技術の一つとして,排熱温度より高温の蒸気を生成できる第二種吸収ヒートポンプについて,その作動原理,特性を解説する。第二種吸収ヒートポンプは,再生器,凝縮器,吸収器,蒸発器によって構成される。排熱温水の熱は,再生器,蒸発器で吸熱される。吸熱された熱の一部は,吸収器で昇温され放熱される。一方,残りの熱は,排熱温水より低い温度で冷却される凝縮器にて放熱される。すなわち,第二種吸収ヒートポンプは,排熱温水と凝縮器の温度差を駆動源として,排熱温水温度より高温の熱を取出す昇温能力を生み出している。<br>第二種吸収ヒートポンプは,吸収器で発生した熱を,他の蒸発器の加熱源として用いることで,多段化してより高温の熱を外部に取り出すことが可能となる。しかしながら,多段化することで入熱量に対する高温の熱の出力の比(COP)は,低下していく。単段昇温吸収ヒートポンプの特徴は,機器の構成要素が最もシンプルな構成であり,COPも高い。2段昇温吸収ヒートポンプは,構成要素の増加を最低限として,汎用ボイラ相当の圧力の蒸気を生成できる。3段昇温吸収ヒートポンプの特徴は,機器の構成要素が増加しCOPが低下するものの,熱回収後の温水温度を75℃まで低下できる点にある。<br>単段昇温吸収ヒートポンプはすでに製品化されており,2段昇温吸収ヒートポンプは,サイクル実証が完了し,製品化に取り組んでいる。また,3段昇温吸収ヒートポンプは,サイクル実証段階まで到達している。様々な排熱利用のニーズに応えるため,2段昇温,3段昇温吸収ヒートポンプの製品販売に向けて,製品化開発に取り組んでいく。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (7), 703-707, 2015

    紙パルプ技術協会

参考文献 (3)*注記

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