接触式キャリパー計による引っ掛け穴低減の取り組み

  • 阿部 竜太
    ダイオーエンジニアリング株式会社 電気計装保全部

書誌事項

タイトル別名
  • The Reduction Approach and Action to the Scratch Spot by the Contacting Caliper Sensor
  • セッショクシキ キャリパーケイ ニ ヨル ヒッカケ アナ テイゲン ノ トリクミ

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抄録

近年の高灰分抄紙と紙の軽量化,抄速の上昇,またカレンダー設備のソフトニップ化によって接触式キャリパー計による引っ掛け穴は増加傾向にある。<BR>大王製紙三島工場N5M/Cでは,接触式キャリパー計による引っ掛け穴は接触面エッジ部で多く発生していると仮定し,紙面との接触部材質の再選定,接触面エッジ部テーパー化の改良を進めた結果,引っ掛け穴をおよそ7割削減することに成功した。<BR>接触式キャリパー計での引っ掛け穴の数は,接触面の加圧圧力に比例し,面精度に反比例すると考えられている。測定精度を維持しつつ加圧圧力を下げるために,耐摩耗性に優れる接触部(サファイアコート)ではなく,測定精度に優れた接触部(ダイアモネックスコート)を選定し,エッジ部の加工を施した。耐摩耗性における懸念があったが,センサーの定期的な点検と調整を実施し連続使用テストを行った結果,引っ掛け穴数を大幅に削減した上で6ヶ月間の使用実績ができ,引っ掛け穴の発生と薬品添加との関係性も得ることができた。<BR>引っ掛け穴問題は非接触式キャリパー計の導入により解決すると考えられているが,全てのQCSを一斉に更新することは不可能である。この方法は引っ掛け穴発生に対する現実的な緩和策として活用できると考えている。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (3), 263-268, 2015

    紙パルプ技術協会

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