凝集沈殿の基本と実際

  • 牛山 保
    栗田工業株式会社 ケミカル事業本部 技術統括部門

書誌事項

タイトル別名
  • How to Use the Waste Water Treatment Chemicals
  • 凝集沈殿の基本と実際 : 凝集剤の特性と効果的活用方法
  • ギョウシュウ チンデン ノ キホン ト ジッサイ : ギョウシュウザイ ノ トクセイ ト コウカテキ カツヨウ ホウホウ
  • ―凝集剤の特性と効果的活用方法―

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説明

工場建設当時とは工場排水の種類,質・量とも大幅に変化している場合が多く,排水処理の安定化を図るのに苦慮される例が散見される。この様な状況の中であっても,設備の急な改造・更新は難しく,既設設備のまま処理を安定化させる必要があり,排水設備運転管理者においては,凝集処理の原理,薬剤の特性を理解し,最適に運用することが求められる。ここでは,凝集沈殿の基本と実際について凝集剤の特性と効果的な活用方法という観点から述べる。<BR>凝集処理では凝集沈殿槽内でいかに早く,懸濁物質と水を固液分離するかがポイントとなる。凝集剤は通常無機凝集剤と高分子凝集剤が併用される。まずプラス(カチオン)の荷電を持った無機凝集剤を添加し荷電中和(凝結作用)を行い微細フロックを形成させ,その後,高分子凝集剤(アニオン,ノニオン性)を添加し微細フロックを架橋凝集作用により大きなフロックとする。<BR>無機凝集剤はポリ塩化アルミニウム(PAC)や液体硫酸バンド(バンド)のようなアルミニウム系と塩化第二鉄やポリ硫酸第二鉄のような鉄系が用いられる。これらの使い分けで大切なのは,無機凝集剤には効果を発揮するために有効なpH領域があり,それぞれの金属水酸化物が形成されるpHが有効領域となる。その他に重要になるのは凝集攪拌条件と添加順序である。<BR>高分子凝集剤は凝結剤によって形成された一次フロックを架橋作用によって大きなフロックにするために使用される。高分子凝集剤の物性のうちで効果に与える影響が大きいものは,分子量とイオン性である。一般的には,分子量は大きいものほど低添加量で効果を発揮する。有効なイオン性はpHおよび無機凝集剤の添加量によって変わってくる。pHが一定の条件で無機凝集剤の添加量が少ない時は,アニオン性の効果が良く,多い時はノニオン性が良好となる。<BR>現場で凝集不良の問題が発生した場合,手順に沿って現象から原因を推定し,対策を講じる必要がある。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 66 (12), 1333-1339, 2012

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (1)*注記

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