放射線を使用しない新BM計の開発

  • 永田 紳一
    王子ホールディングス株式会社 紙パルプ革新センター
  • 澤本 英忠
    王子ホールディングス株式会社 紙パルプ革新センター
  • 酒巻 紀江
    王子ホールディングス株式会社 紙パルプ革新センター
  • 森川 貴子
    王子ホールディングス株式会社 紙パルプ革新センター

書誌事項

タイトル別名
  • ホウシャセン オ シヨウ シナイ シン BMケイ ノ カイハツ

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説明

<p>製紙工業において,紙の坪量と水分率を測定することは,品質管理上のみならず,商取引上においてもたいへん重要である。現行のBMシステムは約40年間の歴史において,ほとんどが水分率は赤外線,坪量は放射線(β線)で測定されてきている。しかし,放射線は人体に悪影響を与える危険性があるため,安全上の規制や対応が必要となっている。</p><p>一方,我々は過去にマイクロ波を使ったオンライン繊維配向計やオンライン微量水分計を開発してきた経緯がある。繊維配向は紙の誘電率の異方性から,水分は紙の誘電損失率から測定される。我々は,オンライン繊維配向計の開発当時から,共振周波数のシフト量から繊維配向だけでなく坪量も測定できることは気づいていたが,水分によっても共振周波数が変わるため,もう一工夫必要であった。そこで,紙を絶乾部分と水部分に分けて考え,それぞれに誘電率と誘電損失率を想定し,共振周波数のシフト量(=Δf)が誘電率と体積の積に比例し,共振ピークレベルの変化(=ΔP)は,誘電損失率と体積の積に比例するので,ΔfとΔPを測定し,連立方程式を解く形で,絶乾部分の体積と水部分の体積をまず計算し,そこから坪量と水分率を算出する方法を見出した。</p><p>この新しいBM測定用のソフトウエアをオンライン繊維配向計に移植し,実機マシンを使って長期に亘り,既存のBM計と同時測定を行い,その測定精度や実用性について比較検討を行った。その結果,既存のBM計との高い相関性等,良好な結果が得られたので,その測定結果および測定原理について報告する。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (9), 927-934, 2016

    紙パルプ技術協会

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