ワイヤーの歴史と最新動向

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タイトル別名
  • History and the Latest Trend of Forming Fabric
  • ワイヤー ノ レキシ ト サイシン ドウコウ

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説明

抄紙用ワイヤーはワイヤーパートで使用される用具であり,その役割は<br>①パルプスラリーの脱水<br>②紙質の形成<br>③次工程(プレスパート)への搬送<br>の3つである。<br>特に,紙質形成に関しては紙の出来上がりを左右する重要な役割であるため,その要求度は高い。近年,製紙業界における高品質,高生産性への要求が高まり,抄紙機は大型化,高速化へと発展している。抄紙ワイヤーもその要求を満たすべく常に進化し続けている。<br>当初,理想的なワイヤーと考えられた3重織(第一世代)は,横糸による接結構造であり,接結強度が低いことから内部摩耗が発生しやすく,急激な普及には至らなかった。しかし,3重織は研究改良により第二世代,第三世代へと発展し,現在では抄紙機にて使用されているワイヤーの主流となっている。第三世代の3重織であるWSBは張力のかかる縦糸にて接結する構造であるため,上下網の密着が強く従来からの課題である内部摩耗を極限まで軽減させることが可能である。当社ではこのWSBのデザインの研究をメインに行い,SAKURA・FUJIシリーズを開発し,市場に投入した。内部摩耗は軽減し,末期まで安定した操業が可能となった。また,シミュレーション等の最新ツールを使用し,付加価値のあるデザインの開発にも取り組んでいる。<br>本稿では,抄紙機の発展とともに進化し続けているプラスチックワイヤーの組織開発の歴史と,1重織から3.5重織の特徴を紹介する。さらに,3重織内での開発の経緯と,最新の3重織(第三世代)であるFUJIシリーズ(WSB)について紹介する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (9), 952-958, 2015

    紙パルプ技術協会

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