光照射によるECF漂白パルプのヘキセンウロン酸除去技術の開発

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  • ヒカリ ショウシャ ニ ヨル ECF ヒョウハク パルプ ノ ヘキセンウロンサン ジョキョ ギジュツ ノ カイハツ

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ヘキセンウロン酸(HexA)はキシランに由来し,それ自体は無色であるが,酸性条件下で分解・重合して着色するため,酸性抄紙に特有の紙の黄変化(退色)の原因物質である。キシランの多い広葉樹のECF漂白パルプではHexAの残留が多く,除去の方法として,加温酸処理とオゾン処理があるが,十分でない場合があった。<BR>今回,これらの既存の方法と組み合わせが可能な新たなHexA除去方法として,光(紫外線)照射について検討した。その結果,漂白済みパルプに低圧水銀ランプで光を照射すると,パルプに含まれるHexAが減少することを見出した。この反応は酸性条件下で効率が高くなり,種々の酸でpH調整したパルプスラリーで効果が得られた。<BR>また,主波長が異なるランプを用いて検討した結果,HexA除去効率とパルプ強度(パルプ粘度)維持のバランスから,光源としては254nmの主波長を持つランプが適していることが分かった。必要とする照射時間は初期のHexA含有量に依存した。しかし,pH3の条件下で254nmの光を照射することによって,各種ECF漂白済みパルプのHexA量を塩素漂白レベル(1mmol/kg以下)まで低減することができた。<BR>これらのパルプは未照射のパルプと比較してHexAに由来する酸性紙特有の熱退色が抑制されることを確認した。しかし,現状では多大な電気エネルギーを必要とする上,長時間の光照射はパルプ粘度の低下と中性紙での退色を招く。効率を向上し,短時間処理を可能にすることが今後の課題である。

Journal

  • JAPAN TAPPI JOURNAL

    JAPAN TAPPI JOURNAL 66 (3), 281-286, 2012

    JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY

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