PLS回帰を用いたプロセスの状態変化の解析方法

  • 森 芳立
    王子ホールディングス株式会社 基盤技術研究所

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Other Title
  • ―制御効果をどう判定するか?―

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化学プラントの生産性向上を目的に,近年,いろいろな産業で広く使われている高度制御機能として,モデル予測制御が有名である。しかし,最新のモデル予測制御機能においても,その導入効果は平均して,製造コストの高々3~5 %ほどであり,かなり小さな変化幅にとどまる。また,そのような小さな変化である上に,不可避なプロセス変動の外乱の影響などもあり,その変化幅,そして,効果量を正しく判定していくことは,至って難しい。<BR>また,紙パルプ製造工程の運転では,時間と共に製造プロセスに流入出する原料性状や最終品質が変化していくため,それらの影響を加味して,長期間の運転データに補正を加え,対象とするプロセスでの入口と出口の品質条件が同じ状態で比較していく必要がある。<BR>統計解析手法として,一般的に良く利用される重回帰分析では,説明変数間に強い相関関係がある場合,変数間の多重共線性による不安定性が発生したり,説明変数への数値計算に基づく過度の当て嵌め現象が発生し,重回帰式の回帰係数が良好に求められない現象が生じ,解析は難しい。<BR>本報ではKP漂白工程を例に,統計手法のPLS(Partial Least Squares)回帰法を用い,製造コストと多くの変数間に内在する,より信頼性の高い回帰式を見出した後,得られた回帰係数を用いて,主要な製造条件がほぼ等しくなるように適切な補正を加えて変動や外乱の影響を排除,製造コストの変化や制御効果などを,納得の行く形でより正しく判定していくための統計的解析での新しい適用方法の工夫について述べる。

Journal

  • JAPAN TAPPI JOURNAL

    JAPAN TAPPI JOURNAL 67 (12), 1431-1437, 2013

    JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282681496831744
  • NII Article ID
    130004493073
  • DOI
    10.2524/jtappij.67.1431
  • ISSN
    18811000
    0022815X
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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