板紙の中性抄紙化における液状AKDの適応

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タイトル別名
  • Introduction of Liquid AKD for Alkaline Board Making System
  • イタガミ ノ チュウセイ ショウシカ ニ オケル エキジョウ AKD ノ テキオウ

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説明

本来,包装用板紙抄紙は特にライナーと中芯では歩留り剤として硫酸バンドとロジンサイズを使う酸性システムとなっている。しかし現在,ライナーや中芯はロジンサイズからAKDまたはASAへと変わってきている。これはウェットエンドシステムを酸性から中性へ変更しなければならないことを意味している。この課題を解決するためには多くの問題に直面し,その解決方法を検討する必要がある。なぜ古紙原料板紙製造は世界的に酸性から中性へ変化しているのか?酸性から中性へシステムを移行するとき変更しなければならない必要な点は何か?古紙原料板紙製造において歩留り,中性サイズコントロールをどの様に実現するのか?<br>中性板紙製造のポイントは再生古紙の中の炭酸カルシウムが増えると,古紙原料板紙システムが酸性から中性へと変化する傾向に選択の余地はない。もし酸性から中性へ抄紙マシンを変更すれば多くの利点があり製造コストの削減にもつながる。その上,ロジンの高い原料コストと予期しない供給サポート問題の点からも,酸性から中性への抄紙システム変更が求められる。2剤併用液体歩留プログラムは歩留り,濾水および強度特性のバランスを取りつつ,コスト削減と操業性向上を実現する。<br>次に酸性ロジンサイズから中性サイズにサイジングシステムを変更することである。ほとんどの中性サイジングシステムでは,AKDまたはASAのいずれかが使用されているが,どちらを使ってもいくつかの欠点がある。AKDを使うと紙のスリップ問題が起き,またAKD加水分解物によるプレスロールやセンターロールでの異物問題がある。ASAのスリップ問題は少ないが,粘着性異物はASA加水分解物による問題の一つであり。そのために硫酸バンドを再使用しなくてはならなくなり,硫酸バンドのリスクを完全に排除することができなくなる。<br>異物とスリップ性を改良した新しい技術として製紙工場の現場でエマルジョン化する液状AKDの利用があり,スリップ問題を低減し,粘着性異物を無くし,異物も少なくするが加水分解した時点でまだ液状だからである。液体AKDは速やかなキュアリング速度での綺麗なサイズを実現するので,システムに硫酸バンドは必要なく,キュアリング度はリワインダー後で通常90%を達成する。また液体AKDはソレニス社の独占技術であり,紙のスリップ問題とデポジットを減らしシステムをクリーンにする技術である。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 70 (2), 122-127, 2016

    紙パルプ技術協会

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