DKPの操業経験

  • 堀崎 敬史
    日本製紙株式会社 釧路工場 工務部原質課 (現所属)オーストラリアンペーパー社 メアリーヴェール工場 製造部

書誌事項

タイトル別名
  • Operating Experience of Dissolving Kraft Pulp
  • DKP ノ ソウギョウ ケイケン

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抄録

近年,中国を中心としたアジア地区の著しい経済発展を背景に,服飾・不織布向けを中心としたレーヨンの需要が伸びている。<BR>レーヨンの原料は,コットンリンターと溶解パルプの2つがあるが,溶解パルプは収穫量が天候に左右されやすいコットンリンターとは異なり,工業的に製造されるため安定した供給が可能であることから,市場では今後も安定した需要が見込まれるとされている。<BR>溶解パルプの製造は,従来,サルファイトパルプ化法(SP法)による製造が主流であったが,近年クラフトパルプ化法(KP法)による製造技術が発展してきたことにより,欧米の製紙各社が,紙需要の減少に伴うクラフトパルプ生産設備の余力を需要が見込まれる溶解パルプの生産に切り替える動きが盛んとなっている。<BR>KP法による溶解パルプの生産は,これまで主にバッチ釜を主体としたものであったが,近年,連続蒸解法による製造方法が開発された。<BR>高まるレーヨン需要を背景に,日本製紙(株)釧路工場は2012年,針葉樹では世界初となる連続蒸解釜を用いた溶解クラフトパルプ(DKP)の生産を開始することを決定した。<BR>DKP化にあたっては,<BR>1)既存のチップ供給系の更新<BR>2)前加水分解釜の設置<BR>3)木釜頂部トップセパレーターの更新<BR>4)リボイラーの設置<BR>を行うとともに,KPとDKPのスイッチング操業が可能な設計となっている。<BR>工事は2012年9月末に完工,翌10月よりDKPの生産を開始し,2013年3月より商業生産を開始している。<BR>本稿ではDKP化切替工事および立上後の操業状況について報告する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 68 (4), 367-370, 2014

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (1)*注記

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