モデル予測制御を用いたECF漂白工程の多変数制御

  • 森 芳立
    王子ホールディングス株式会社 紙パルプ革新センター
  • 渡辺 雅弘
    横河電機株式会社 ビジラントプラントサービスセンター APCエンジン課
  • 山本 高弘
    横河ソリューションサービス株式会社 ソリューション技術本部 第4技術部

書誌事項

タイトル別名
  • モデル ヨソク セイギョ オ モチイタ ECF ヒョウハク コウテイ ノ タヘンスウ セイギョ

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抄録

紙パルプの製造現場では,常により一層のコスト削減,品質の安定化が求められている。クラフトパルプの漂白工程は長いむだ時間,変数間の制御応答が互いに影響し合う相互干渉要素を多く持ち,コントロールが難しいプロセスの一つと言われている。<BR>モデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)は,多入力多出力系の複雑な化学プラントを総合的にコントロールしていく新しい制御法として1980年代に開発されたが,常にプロセスの全体状態を把握しながら複数の操作端を同時操作して最適化を計っていく多変数制御手法で,大きな経済効果をもたらすことが報告されている。<BR>本報では広葉樹を原料とするクラフトパルプのECF(Elementary Chlorine Free)漂白工程を対象に,このモデル予測制御を導入,漂白薬品コストの削減,そして,パルプ白色度,残塩素濃度,pHなど従来から取組まれている品質制御機能に加え,抄造後の紙製品において時に発生することがあり,重大な品質問題となる熱湿褪色(黄化)トラブル防止対策の管理機能も合わせ持つ制御機能の開発内容について述べる。<BR>また本制御機能の実現に当たり,パルプ白色度計,残塩素濃度計,カッパー価計など多くの特殊センサーの測定値を取り込んだが,MPC制御ではソフトセンサー機能が一緒に良く使われる。本システムでも,センサー設置が無い地点,また,より高い精度の測定値が求められるなどの理由により手分析で定期測定されている複数地点に対して,重回帰式を用いたソフトセンサー機能を組み込み,MPC制御,そして,監視機能とリンクし,より実操業に近い形で運用できるようにした。また,長期間の運転データの解析結果を基に,制御導入によるパルプ白色度の品質面での安定性,漂白薬品コストの削減効果,そして,操業性についても述べる。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 68 (10), 1174-1183, 2014

    紙パルプ技術協会

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