欧州単一効特許と統一特許裁判所

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タイトル別名
  • European Patent with Unitary Effect and Unified Patent Court
  • オウシュウ タンイツコウトッキョ ト トウイツ トッキョ サイバンショ

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説明

欧州において,一元的な特許制度の創設は,EUの歴史において最も困難な課題の一つとされ,40年以上に渡って議論が行われてきたが,2013年2月,欧州単一効特許(単一特許)を創設する2つの規則案と統一特許裁判所を創設する協定から構成される単一特許パッケージが最終的に成立した。<BR>2013年7月10日現在,28のEU加盟国のうち,単一特許の参加加盟国は,イタリア,スペイン,クロアチア(2013年7月にEU新規加盟)を除く25カ国,統一特許裁判所の協定署名国は,スペイン,ポーランド,クロアチアを除く25カ国であり,欧州各国は,早期の運用開始を目指して,国内批准手続等を進めている。<BR>単一特許は,国内特許の権利の束とも称される既存の「欧州特許」と同様に,欧州特許庁において出願から審査の手続を行うものであるが,単一特許参加国において単一的保護を与える点において大きく異なり,出願人の翻訳負担の軽減も期待されている。<BR>統一特許裁判所は,新たな条約に基づいて創設される特許訴訟専門の裁判所であり,既存の欧州特許と単一特許の両方について,侵害訴訟や特許取消訴訟を管轄する。第一審裁判所と控訴裁判所の二審制により構成され,第一審裁判所は,主に侵害訴訟を取扱う地方部/地域部,及び,主に特許取消訴訟を取扱う中央部からなる。<BR>単一特許と統一特許裁判所の実現によって,一元的な権利取得と権利行使が可能となり,手続や費用の緩和が期待される一方,欧州においては,各国への個別出願,既存の欧州特許,単一特許という3つの出願ルートが併存することとなるため,欧州でビジネスを展開する上で,目的に応じてこれらの出願ルートを選択することが必要となる。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (9), 1010-1017, 2013

    紙パルプ技術協会

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