システムアップグレード

  • 田中 正守
    株式会社IHIフォイトペーパーテクノロジー 製紙機械技術部

書誌事項

タイトル別名
  • System Upgrade for Stock Preparation and Approach Flow
  • システムアップグレード : 原質からアプローチまで
  • システム アップグレード : ゲンシツ カラ アプローチ マデ
  • ―原質からアプローチまで―

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抄録

年々悪化の傾向をたどる古紙事情において,今までと同等またはそれ以上の歩留まりや省エネを実現するには,製紙工程システム全体を考慮した効率の良い改善策を講じていく必要がある。その中で,近年特に重要性が高まってきている繊維回収工程に着目し,弊社の最新技術がシステム全体に与える利点についてご紹介させていただく。<BR>ディスクフィルタTMは,バッグなどの消耗品を必要としないメンテナンスフリーの原料濃縮・繊維回収機である。表面が波状であるため,平面のものに比べて処理量を約20%増加できる。また小さい落差で高いバキュームが得られる白水回収バルブにより,白水濃度は従来よりも低くできる。この技術は自社製・他社製を問わず改造流用することができるので,新設よりも低いイニシャルコストで高い効果が得られる。<BR>より簡易な,または小処理量向けの方法として,繊維回収用バスケットが挙げられる。これまでより小さい孔径を持つバスケットにより繊維を分級させ回収するもので,遊休品のスクリーンにも対応できるので設備投資を最小限に留めることができる。<BR>このように白水の繊維回収工程を改善することで,歩留まりの向上はもちろん,より濃度の低いろ過水が得られるので清水原単位を削減できる。また,排水処理工程への負荷も軽減されるため,必要薬品量の減少や設備の省マシン化によるコスト削減も可能となる。<BR>これらの特徴は機器そのものの性能向上や維持費削減だけでなく,後工程へも大きな貢献ができるものとして他と一線を画している。<BR>今後のシステムアップグレードに対し,このような提案をしていく重要性は更に高まっていくと思われ,その期待に応えるべく精進する次第である。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (5), 482-485, 2013

    紙パルプ技術協会

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