板紙生産におけるコスト低減への提案

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タイトル別名
  • The Proposals for Cost Reduction of Paperboard Production
  • イタガミ セイサン ニ オケル コスト テイゲン エ ノ テイアン

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抄録

近年,省資源化とコスト削減の要求はますます重要となっている。本報告では,板紙のコスト低減の取り組みについて,主にウェットエンド薬品の観点から,特に,(1)汚れ・断紙の防止,(2)サイズ剤の定着,(3)硫酸バンド(Alum)の低減対策,(4)紙力剤・濾水・歩留剤の効率的使用について報告する。<BR>汚れや断紙の原因の主なものに古紙等由来のピッチがある。カチオン性有機凝結剤のFR―801,FR―701H,MT―910等は,カチオン密度だけでなく,分子量や構造に特徴を持たせることでより優れたピッチコントロール効果を発揮し,汚れ,断紙の防止に効果がある。また,これらの凝結剤はサイズ剤の定着にも優れた効果を持ち,サイズ剤の添加量削減が見込まれる。さらに,Alum低減によって生じる課題(アニオントラッシュ増加による薬品定着阻害,サイズの低下等)の対策にも有効である。<BR>適切な濾水・歩留剤の選択も消費量の低減に重要である。pHやAlum量,内添紙力剤の種類や量等は紙料の性状に影響し,後の濾水・歩留剤の効果も異なってくる。さらに抄紙機の能力や,板紙の種類等により,紙質や操業への要求の重要度は異なる。そのため,弊社では様々なイオン度や組成,及び凝集力の異なるポリマー系濾水歩留剤を有し,新規品の開発も行っている。いずれも収縮した構造等の設計をポリマーに取り入れることで,歩留や濾水と乾燥性,地合,紙質の両立を図り,それによって他の薬剤の使用量増加を防いでいる。<BR>また,ウェットエンド薬品は名称に限らず様々な目的を兼ねて使用されることもある。複数の薬品で共通の目的を期待している場合は,より効果の高い薬剤への統一や置き換えを検討することにより,薬品全体の使用量を減らしつつ,蒸気量低減等の操業性の改善を図ることが有効である。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (10), 1112-1117, 2013

    紙パルプ技術協会

参考文献 (10)*注記

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