ゲル化剤や増粘剤の開発とその特徴

書誌事項

タイトル別名
  • Development and Properties of Gelators and Thickeners
  • ゲルカザイ ヤ ゾウネンザイ ノ カイハツ ト ソノ トクチョウ

この論文をさがす

抄録

溶媒に添加するとゲル化をおこしたり増粘現象をおこしたりする低分子化合物について紹介した.前者はゲル化剤,後者は増粘剤と呼ばれる.まず,低分子化合物による溶液の物理ゲル化と溶液からの結晶化について,その類似性を説明した.結晶化は分子が分子間相互作用により三次元的に秩序性のある完全な配列をするために溶媒から相分離する現象であり,物理ゲル化は二次元的な配列で繊維状の会合体が網目構造を形成し,その空隙に溶媒を絡めこむために起こる.結晶化もゲル化も原動力はともに水素結合やファンデルワールス力,静電的相互作用,π-π相互作用などの協同的な非共有結合的相互作用であることを述べた.典型的なゲル化剤であるアミノ酸誘導体について言及し,“ゲル化駆動セグメント”という概念の重要性を強調した.ゲル化駆動セグメントからさまざまな官能基を含む機能性ゲル化剤やポリマー型ゲル化剤が容易に合成できることを示した.人工甘味料から合成したシクロ(L-アスパラギニル-L-フェニルアラニル)誘導体もまたよいゲル化剤である.この環状ジペプチドのゲル化剤の特徴は広範囲のイオン性液体をゲル化できることである.作製したイオン性液体ゲルはゲル電解質としてのポテンシャルが高い.ベンゼントリカルボン酸アミド,シクロヘキサントリカルボン酸アミド,アミノイソフタル酸誘導体の増粘剤として性質を述べた.最後にチキソトロピー挙動を示す化合物を紹介した.

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 72 (8), 491-504, 2015

    公益社団法人 高分子学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (31)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ