空気清浄器の知覚空気汚染物質除去効率に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Study on the Efficiency of Air Cleaners in Removing Perceived Air Pollutants
  • 空気清浄器の知覚空気汚染物質除去効率に関する研究〔英文〕
  • クウキ セイジョウキ ノ チカク クウキ オセン ブッシツ ジョキョ コウリツ

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抄録

1.はじめに従来,粉じん濃度などによって評価されてきた空気清浄器の効率をFangerの提案する知覚空気汚染度の単位decipolによって評価し,両者の比較を試みる.また,同時に在室者の空気質に対する反応を調査する.2.実験方法本実験では,空気汚染源としてタバコ煙を用い,あらかじめ試験室内に在室している1名の喫煙者が実験開始とともにタバコを自然燃焼させた.本実験は5種の方式の異なる5タイプの空気清浄器を用い,また各実験はセッションIとセッションIIの二つに分けて行った.セッションIでは空気清浄器を運転せずにCO濃度,知覚空気汚染度がほぼ一定になるようにし,セッションIIでは空気清浄器を作動させ,かくはんはそのまま継続し,空気清浄器によってdecipol値が変化し,一定の値になるまで実験を続けた.セッションI,セッションIIにおいて,訓練パネルが順番に測定点の空気をかいでその空気を知覚空気汚染度単位decipolで申告し,同時に臭気強度についても申告を行った.また,オキュパント(在室者)が,実験開始直前に試験室に入室し,10分ごとに臭気強度,目の刺激,許容度に関する申告を行った.3.実験結果タバコ1本あたりの知覚空気汚染源発生量に対する外気量と不快者率の関係を求めたところ,不快者率20%のときの必要換気量は160m^3/本となり,オフィスなどでは1時間あたりに1人が約1本の喫煙を行うとされていることからこれは44.4l/s・人の換気量に相当した.また,パネルの申告したセッションI,セッションIIの定常臭気強度は,どれもオキュパントの申告した臭気強度よりも高く,これはオキュパントのきゅう覚疲労によるものと思われる.セッションIとセッションIIの定常粉じん濃度から各実験タイプの空気清浄器の粉じん除去効率を求めた.この手法を知覚空気質評価にも適用し,各空気清浄器の知覚空気汚染物質除去効率を求めた.同じ空気清浄器であっても,粉じん除去効率と知覚空気汚染物質除去効率はかなり異なっており,従来のように粉じん濃度などから空気清浄器の性能を評価するだけでなく,臭気の除去に関する評価も必要と考えられる.4.考察本実験で得られた,各空気清浄器の知覚空気汚染物質除去効率の値から,不快者率を20%に抑えるのに必要な外気導入量をどの程度削減できるかを試算してみたところ,最も除去効率の高かった空気清浄器を用いると,約10l/sの外気量が削減できることがわかった.しかし,この試算は本実験と同様の条件下についてのみ有効であり,今後,空気清浄器の位置,家具の位置,室内気流の清浄などが除去効率に及ぼす影響を調査する必要がある.

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