糖質および脂質代謝異常からみたBMIにおける“過体重者”の問題

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タイトル別名
  • Problems in so-called overweight persons in body mass index from view-point of abnormal glucose and lipid metabolism.
  • トウシツ オヨビ シシツ タイシャ イジョウ カラ ミタ BMI ニ オケル

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説明

50歳前後のある国家公務員関連職員男性集団を対象に, BMIが25~29を示すいわゆる“過体重者”の問題を検討すべく, 血中脂質およびリポたん白を測定し, また高脂血症や糖代謝異常の頻度を正常体重群のそれらと比較し, 以下の結果を得た。<br>1) 血中脂質ではTC, LDL-Cは両群に差異はないが, TGは過体重群が正常体重群と比較して高値, HDL-Cは低値の傾向を認めた。AIは過体重群で高値の傾向を示し, UAは有意の高値を示した。<br>2) 高脂血症の頻度をみると, 軽度および中・高度の高TC血症は正常体重群22%に対し, 過体重群28%とやや多く, さらに高TG血症は前者の32%に対し, 後者では50%とかなりの高頻度を示した。低HDL-C血症も同様の結果であったが, 高LDL-C血症は過体重群でやや少ない結果を示した。 AIは4.0以上が過体重群で多い傾向を示した。<br>3) 血糖曲線のうち, 糖尿病型は両群で差異はないが, 境界型は正常体重群の56%に対し, 過体重群が68%と高頻度を示した。<br>4) 肝機能では, GOT, GPTおよびγ-GTPは過体重群で有意の高値を示したが, Al-Paseは両群で差異はなかった。<br>以上より, BMIにおけるこれまでの“過体重者”には糖質・脂質代謝異常の発現がかなりみられ, このグループはむしろ“肥満者”である認識をもつことが必要と考えられた。

収録刊行物

  • 栄養学雑誌

    栄養学雑誌 47 (3), 157-161, 1989

    特定非営利活動法人 日本栄養改善学会

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