各種有機質資材の投与が農薬連用土壌の微生物相および活性に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of Organic Amendments on Soil Microbial Ecosystem Which Was Modified by Long-Term Application of Pesticides
  • カクシュ ユウキシツ シザイ ノ トウヨ ガ ノウヤク レンヨウ ドジョウ ノ

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説明

有機性廃棄物の土壌還元と農薬に対する土壌分解能の活用を目的として,殺虫剤γ-BHCおよび殺菌剤TPNの両農薬を毎年混合施用してきた畑地土壌に稲わら,堆肥および下水汚泥の3種類の有機質資材をそれぞれ施用し,これらの施用が農薬連用によって土壌微生物が受けたストレスに与える影響について検討した.1)各有機質資材の施用は,それぞれの効果に強弱はあるが,農薬連用による土壌微生物数の低下を回復させた.資材別に見ると,微生物数増加の効果は下水汚泥>稲わら>堆肥の順序で,それぞれの資材中の易分解性有機物の含量およびその他の性質に関連があると考察した.2)土壌呼吸量およびセルロースの分解は各有機質資材の施用によって促進された.資材別に見ると,汚泥の施用が土壌呼吸およびセルロースの分解を最も大きく促進した.これには汚泥施用が最も多量の易分解性有機物を供給し,畑地水分状態下でのセルロース分解の担い手である糸状菌数を増加し,TPNの分解消失を促進し,また,セルロース分解に必要な窒素を微生物に供給したことに基づくところが大きいと考察した.3)本研究に供試した土壌は,両農薬の連用により,土壌生物の農薬分解活性が高まっていたが,このような土壌に置いても各有機質資材の施用が農薬の分解能をさらに高めることが示された.なお,稲わらは施用直後において,TPNの分解消失速度を低下させたが,これには稲わらがTPNを吸着したことが関与していると考えられる.以上の結果から,有機質資材の使用が農薬連用によって土壌微生物が受けたストレスを修復することと,これの効果の大小は資材中の有機物の正確および易分解性有機物含量などが関与していることなどが示唆された.

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