窒素供給量を規制した流動水耕法とそれによる水稲窒素吸収様式の定量的制御

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  • Continuous Flow Water Culture Method with Limited Supply 0L Nitrogen and Quantitative Control of Nitrogen Absorption Pattern of Rice
  • チッソ キョウキュウリョウ オ キセイシタ リュウドウ スイコウホウ ト ソレ

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抄録

圃場水稲に近似した生育相の水耕水稲を得ることを目的に, 溶液循環式の大容量流動水耕培養装置(300 l・10株栽培可・培養液循環速度10 l/min)を用い, 低窒素濃度 (2ppm以下) の培養液で窒素供給量を規制する水耕法について検討した. 得られた結果は以下のとおりである. 1. 分げつ盛期以降の水稲に対して, 株あたりの窒素供給量を圃場水稲の水準に規制して栽培すると, 供給窒素は水稲にほぼ完全に吸収され水稲窒素吸収量は供給量に対応した. したがって, 窒素容量因子を規制した流動水耕法での水稲の窒素吸収様式の制御が可能となった. 2. 窒素吸収様式を圃場水稲の水準に制御した水耕水稲は形態, 乾物重, 器官別窒素含有率, 吸収窒素の籾数生産能率などの点で, 従来の水耕法で栽培した水稲に比べて圃場水稲の生育に近似した. 3. 分げつ初期の水稲の生育・窒素吸収量に及ぼす培養液窒素 (NH_4-N) 濃度の影響について流動培養条件で検討したところ, 0.3ppm以下の非常に低い濃度は, 従来静止培養条件で得られた報告値より著しく低かった. 4. 前項の結果から, 流動培養条件では, 分げつ初期の窒素吸収速度の低い時期においても, 培養液への窒素供給量 (容量因子) を制限することにより水稲の窒素吸収量は制御できると推定された. 5. 窒素供給量を規制する水耕法を利用すれば, 圃場水稲に近似した窒素栄養条件で各種養分の吸収・移行・代謝や施肥反応について研究することが可能になる.

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