水田転作大麦の生育適性区分図の作成 : 企沢図幅の例

書誌事項

タイトル別名
  • Suitability Maps for Barley ill Kanazawa Area
  • 水田転作大麦の生育適性区分図の作成--金沢図幅の例
  • スイデン テンサク オオムギ ノ セイイク テキセイ クブンズ ノ サクセイ

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抄録

土壌情報システムを使って、転換作物の円滑な導入や生産力の安定向上を図るための実用土壌図として、石川県における水田転作大麦の生育適性区分図を作成し、その適合性について検討した。 1)市町村別収量データを用いて大麦の生育適性に関する自然環境要因の解析を行い、気象および土壌要因の影響が大きいことを明らかにし、土壌条件からみた大麦の生育適性区分の作成を試みた。各市町村ごとの土壌群を割り当てた結果、(1) 灰色低地土、(2) グライ土、(3) 灰色低地土+グライ土、(4) 灰色低地土+褐色低地土の4種類にコーディングすることができた。そして、数量化I類による統計解析が大きく、特にグライ土において著しく減少することが明らかとなった。 2)モデル地域において、数量化I類により大麦の生育適性からみた土壌評価を行った。その結果、大麦収量は「昨土の深さ」>「II層の粗孔隙率」>「I層の仮比重」の順に密接な関係が認められた。「作土の深さ」要因では15cm未満、「粗孔隙率」要因では5%未満、さらに「仮比重」要因では1.2以上の土壌条件下で、大麦の生育適性評価値を大きく低下させていることが明らかとなった。 3)モデル地域における土壌要因の解析結果から、大麦の生育適性評価値を計算した。この手法にしたがって、生育適性評価値を次の3ランクに区分した。(1) 適地(0.33≦)、(2) 普通地(0.12≦〜<0.33)、(3) 不適地(0.12>)この生育適性評価値による区分とは別に、湿田タイプの土壌を不適地に位置づけた。4)縮尺5万分の1「金沢」図幅内の土壌調査データを入力し、データファイルを作成した。また、基本土壌図をデジタイザーを使用してコンピュータ入力し、水田土壌図を自動製図機で出力作成した。さらに、これらをもとに適地、普通地、不適地の3つのカテゴリーからなる大麦の生育適性区分図を、国土地理院発行の「金沢」図幅5万分の1地形図上に自動製図機で出力作成した。 5)作成した生育適性区分図の妥当性を検証するため、農協支所別の大麦収量と生育適性区分図のカテゴリー区分との関係について解析を行った。その結果、適地、普通地、不適地の順に収量は高く、しかも各カテゴリー間で有意な差が認められ、作成した図の妥当性が確かめられた。

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