各種鶏ふんの窒素無機化量の簡易評価法

  • 日高 秀俊
    JA全農営農・技術センター肥料研究室
  • 新妻 成一
    JA全農営農・技術センター肥料研究室:(現)JA全農本所
  • 大澤 元成
    JA全農営農・技術センター肥料研究室:(現)JA全農福岡支所
  • 久保 省三
    JA全農営農・技術センター肥料研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Rapid Method for Evaluation of Available Nitrogen in Poultry Manures
  • カクシュ ケイフン ノ チッソ ムキカリョウ ノ カンイ ヒョウカホウ

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抄録

採卵鶏由来の鶏ふんについてpH7.0-1/15Mリン酸緩衡液で尿酸を抽出することによって窒素無機化量を評価する方法を検討した.1)供試鶏ふん(11点)の全窒素含量は22〜46g kg^<-1>,C/N比は5.7〜11.6,30℃畑状態における7日目の無機能窒素量は-0.3〜16.8g kg^<-1>,28日目の無機能窒素量は1〜24g kg^<-1>であった.2)最適な尿酸の抽出条件を調べるためにリン酸緩衡液を用いて,抽出比率,抽出時間,抽出温度について検討を行った.その結果,試料0.5g,抽出液200 mL,抽出時間60分,抽出温度60℃が最適な条件と考えられた.3)リン酸緩衡液抽出,水抽出において尿酸態窒素,アンモニウム態窒素,硝酸態窒素,ニンヒドリソ反応性窒素,非尿酸態有機態窒素,抽出金全窒素を測定した結果,リン酸緩衡液抽出,水抽出ともに窒素の抽出力,抽出窒素の形態に差は見られなかった.ただし,水抽出はpHの変動が見られたため試料のアンモニウム態窒素が揮散する可能性が考えられた.また,窒素形態間において全窒素,尿酸態窒素,アンモニウム態窒素,ニンヒドリン反応性窒素,抽出全窒素の間には高い相関関係があった.4)リブ酸緩衡液抽出の各窒素形態と培養30℃における期間I(O〜7日目)および期間II(7〜28日目)の窒素無機化量との間には高い相関が認められた.特に,尿酸態窒素との相関が高く,尿酸態窒素を測定することによって,窒素無機化量を評価できると考えられた.5)抽出液を10倍に希釈した液の260,290nmの吸光度差と抽出液中の尿酸能窒素含量との間には高い相関が見られた.このことから紫外部吸光度法によって,尿酸の定量が可能と考えられた.以上の結果,試料0.5gをリソ酸緩衡液200mLで,60℃,1時間抽出し,尿酸能窒素を測定することで鶏ふんの短期的な窒素無機化量を評価できると考えられた.なお,抽出液を10倍希釈した液の紫外部吸光度を測定することによっても尿酸態窒素含量を迅速に評価できると考えられた.

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参考文献 (15)*注記

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