窒素質化学肥料の施肥とサトウキビ栽培石灰質土壌からのCO_2フラックスおよび浸透水水質との関係

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タイトル別名
  • Effects of nitrogen fertilizer on the CO_2 flux from calcareous soil under sugarcane cultivation
  • チッソシツ カガク ヒリョウ ノ セヒ ト サトウキビ サイバイ セッカイシツ ドジョウ カラ ノ CO ₂ フラックス オヨビ シントウスイ スイシツ ト ノ カンケイ

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抄録

炭酸塩岩島嶼である宮古島の石灰質土壌でサトウキビを栽培し,化学肥料の施肥の有無と地表からのCO_2フラックスならびに浸透水の水質との関係を明らかにすることを目的とした.無施肥区(対照区)と施肥区を設け,施肥区には尿素入り複合燐加安804号(18-10-14;窒素18%の内11%が硫安)を2回の培土時にそれぞれ6.75g-Nm^<-2>,7.25g-Nm^<-2>を施肥し,その施肥前後のCO_2フラックスおよび浸透水水質を計測した.CO_2フラックスは,無植栽とした畝においてダイナミック・クローズド・チャンバー法により測定し,また浸透水は深さ60cmに埋設したロート型ライシメータにより採取した.その結果,施肥区のCO_2フラックスは,施肥後でかつ大量降雨直後の時期には対照区の1.2〜2.3倍で有意に高かった.浸透水については,施肥後の6月14日〜8月10日の期間において,施肥区のCa^<2+>,HCO_3^-,NO_3^-およびH^+量は対照区より有意に多く,また施肥区のみで浸透水中のCa^<2+>量とH^+量との間に有意な正の相関関係が示された.なお,サトウキビ栽培期間中,いずれの試験区においても浸透水中にNH_4^+は検出されなかった.これらの結果から,施肥区のCO_2フラックスが対照区を上回った最大要因は,施肥区で施用した化学肥料中の硫安に含まれるアンモニアが,土壌中で硝化される過程でH^+を生じ,このH^+により石灰質土壌中に含まれる炭酸塩の溶解が促進され,この溶解に起因するCO_2の一部が,土壌表面から大気放出したと考えられた.

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参考文献 (26)*注記

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