生育後期の湛水管理による水稲のカドミウム吸収抑制

書誌事項

タイトル別名
  • Countermeasure by Means of Flooding in Latter Growth Stage to Restrain Cadmium Uptake by Lowland Rice
  • セイイク コウキ ノ タンスイ カンリ ニ ヨル スイトウ ノ カドミウム キュウシュウ ヨクセイ

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説明

神通川流域で玄米カドミウム濃度が0.4mg kg^<-1>程度となる汚染レベルの低い県有農用地において,水稲のカドミウム吸収を効果的に抑制するため生育後期(出穂前15日から出穂後25日まで)の湛水処理の効果を検討した.1)玄米カドミウム濃度は,後期湛水処理により0.08mg kg^<-1>となり,間断灌漑を継続した対照区と比較すると84%の低減効果が認められた.また,年次変動を考慮した0.2mg kg^<-1>を超過する確率は2%未満の低い水準であった.水稲の生育後半におけるカドミウム吸収量は,後期湛水処理により対照区の10%相当まで低減された.2)後期湛水期間中の作土層のEhとpHより土壌中のカドミウムは硫化物として不溶化していたものと考えられた.3)水稲の収量は後期湛水処理によっても対照区と同等であり,出穂後20日の水稲根については常時湛水処理でも土壌還元に起因した根の障害は認められなかった.4)収穫期の機械の走行性は湛水処理により低下し,作土の乾燥密度や表面硬度の低下が要因と考えられたが,後期湛水処理では常時湛水処理に比べて改善効果が認められた.以上のことから,低汚染レベルの圃場で玄米カドミウム濃度を可能な範囲でより低い濃度レベルに誘導するには,出穂前15日から出穂後25日の40日程度の湛水処理を基本とした水管理が効率的であると考えられる.

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被引用文献 (15)*注記

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参考文献 (19)*注記

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