低フィチンダイズと普通栽培品種エンレイの生育,収量および栄養成分の比較
書誌事項
- タイトル別名
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- Comparison of plant growth, yield, and mineral accumulation between a low-phytate soybean line and the cultivar 'Enrei'
- テイフィチンダイズ ト フツウ サイバイ ヒンシュ エンレイ ノ セイイク,シュウリョウ オヨビ エイヨウ セイブン ノ ヒカク
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抄録
ダイズ子実には有機態リン酸の一つであるフィチン酸(ミオイノシトール6リン酸)が多く含まれている.フィチン酸は単胃動物では消化・吸収できないため,環境中にリン酸が排泄される.さらに,フィチン酸はFeやZnといった微量要素と強力にキレート結合(フィチン)し,これらの栄養素の利用を妨げる抗栄養成分の一つでもある.そこで,フィチン酸に関わる様々な問題を解決するためにフィチン酸の低い穀類が開発されている.本研究では,エチルメタンスルホン酸で処理した突然変異体から選抜を繰り返して得られた低フィチン系統(CX1834)について,西日本奨励品種エンレイと比較することによって低フィチン系統の収量性,無機成分の集積,イソフラボン含量などの基本的な生育特性や品質を検討することを目的とした.両系統・品種を2005年と2008年に圃場栽培したものを解析の材料に用いた.その結果,1)2005年度においては,低フィチン系統の地上部乾物重,子実重にエンレイと差が見られなかったが,2008年度には低フィチン系統がエンレイに比べて地上部乾物重は30%,子実収量は50%高かった.2)低フィチン系統は,エンレイに比べて着莢数,一莢内子実粒数が多かったが,百粒重は逆に小さかった.3)子実の全P濃度は2005年度では同じであったが,2008年度は低フィチン系統でやや高かった.フィチン態P濃度は低フィチン系統で2.14〜2.55g kg^<-1>,エンレイで5.32〜5.50g kg^<-1>であり,全Pに対するフィチン態Pの割合は低フィチン系統で23〜26%,エンレイで66〜70%であった.4)子実中のK, Mg, Ca, Fe, Zn,タンパク質濃度,さらにイソフラボン含量およびその成分組成には,両系統・品種で差はなかった.5)エンレイでは開花後20から30日目の子実肥大初期にフィチン酸の合成が始まり,その後,完熟期まで直線状にフィチン酸が集積した.しかし,低フィチン系統では開花後30日目でもフィチンの蓄積は見られず,その後もフィチン酸の蓄積が抑制され,低フィチン系統では,フィチン酸合成に関わる遺伝子の発現が抑制されていると推察された.
収録刊行物
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- 日本土壌肥料学雑誌
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日本土壌肥料学雑誌 83 (4), 381-388, 2012
一般社団法人 日本土壌肥料学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282681535168768
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- NII論文ID
- 110009593726
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- NII書誌ID
- AN00195767
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- ISSN
- 24240583
- 00290610
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- NDL書誌ID
- 023969848
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可