不織布に関する研究 (第3報)

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タイトル別名
  • フショクフ ニ カンスル ケンキュウ 3
  • 不織布の物理的性質について

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抄録

繊維及び結合剤が不織布の性質に及ぼす影響を研究するために, 繊維の種類及び結合剤量の異なる試料について若干の物理的性質を測定した結果, 次の諸点を明かにした.<br>1) 不織布の見掛け密度と結合剤量には直線関係が得られたが, このような見掛け密度の変化は, 添加された結合剤の交絡する繊維相互間の比較的大きい空隙への充填的な付着と同時に, 試料の見掛け体積もかなり増加せしめる様な二つの作用を包含した. また見掛け密度は繊維の種類によつて著しく変動した.<br>2) それ故, 不織布の切断強度は二種の強度単位即ち, (kg/cm2) 及び所謂K.G.S.C.(kg/cm/g/cm2)を導入して, 繊維及び結合剤量の効果を検討する必要があった. かくして, 結合剤量を増加すると繊維相互の接合部分を増して引張力に対応する繊維の数を増加する事となり, 切斯強度は上昇するが, 他方結合剤の接合力がかなり強いために試料の切断は主として繊維が切断されることによって生ずる結果と考えて, 不織布の切断強度が単繊維の切断強度に高度に依然することを説明した.<br>3) 製品の引裂強度においては, 織物と同様にして求めたタフネス•インデツクスとよく相関し, 且つ切断強度とも相関する結果を得た. これらの観察から, 我々の測定した引裂強度は切断強度の一つの変形された値であることを知つた.<br>切断伸度は素材の繊維及び結合剤自身の伸張, 其の他の因子が影響するためか素材繊維の切断伸度と明瞭な関係がみられなかつた.

収録刊行物

  • 日本ゴム協会誌

    日本ゴム協会誌 33 (8), 579-587, 1960

    一般社団法人 日本ゴム協会

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