伊勢湾における海況変動とプランクトン分布について

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タイトル別名
  • On the Relation Between the Distribution, of Plankton and the Annual Changes of Sea Condition in Ise Bay
  • イセワン ニ オケル カイキョウヘンドウ ト プランクトン ブンプ ニ ツイテ

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抄録

本報は伊勢湾における1950年10月より1951年12月に至るプランクトンの季節変動と海況とを対比させて, その相互関係を明らかにした。伊勢湾は流入河川水の影響を受けた低かん水が湾奥から西部沿岸沿いに南下し, 一方湾口からの高かん外洋水の侵入は東岸沿いに北上する。これらの消長は表層の塩素量水平分布に明確に現われる。すなわち各月とも15Cl‰, 17Cl‰の両等塩素量線付近の水平傾度が急で, これがそれぞれ流入水および侵入水の縁端であることを示す。両勢力の季節的消長は, これらの等塩素量線の位置となつて現われ, 梅雨を中心とする低かん期には湾口付近に, 10~12月の最かん期には湾奥に位置する。したがつて植物プランクトン分布もこれと対応し, 各種の濃密部が17Cl‰以上, 15~17Cl‰, 15Cl‰以下の3区に分れて出現する。これに季節的特徴を加味すると, (1) 「外洋性群」 (2) 「高かん性内湾種群」 (3) 「低かん性内湾種群」となる。これらの3群は, それぞれ塩素量に対する適応値の高低を示している。なお一部の狭温種は水温の水平分布の影響も含まれる。<BR>一方, 動物プランクトンは湾内が著しく低かんとなることがあるため, 広塩性の純内湾種と沿岸底棲生物の幼生が周年主体を占め, 外洋種は10~12月の最高かん期に限り全く散発的に見出されるのみである。

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参考文献 (2)*注記

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