短期温泉浴による末梢白血球亜群の量的変動と分布率別調節

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タイトル別名
  • Regulation of Peripheral White Blood Cells in Numbera and Functions through Hot-Spring Bathing during a Short Term. Studies in control experiments.
  • Regulation of Peripheral White Blood Cells in Numbers and Functions through Hot-Spring Bathing during a Short Term--Studies in control experiments
  • Studies in control experiments

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抄録

著者らは宿主の免疫能の後天的調整法として, 運動療法や温泉療法による調節の可能性を検討している。今回, 短期の温泉浴を実施し, 末梢白血球数及び白血球亜群それにCD陽性細胞の変動を量的・質的に検討した所, 短期温泉浴によって白血球亜群や免疫担当細胞亜群が量的及び質的に調節を受ける事が判明した。本報告ではボランティアにおける末梢白血球亜群の占有率により顆粒球70%以上を顆粒球型, そしてリンパ球40%以上をリンパ球型として分け, 調節方法を検討した所, 過剰な分布を占す亜群は減少的調節を又, 過少な亜群は増加する方法で各亜群の比率を適正化することが示されたので報告する。また, この様な短時間内調節の可能性を調べる為, 安静時における変化及び温泉浴に匹敵する歩行運動時の変化を陰性及び陽性対照実験として設定した。<br>18~81歳までの健常ボランティア延べ126名について温泉浴の前日15時 (1997年12月28日, 1999年6月2日) と翌日15時に末梢より静脈血を採取した。<br>CD陽性細胞と白血球亜型の検出: 白血球数及び亜型の分布率は常法に従い形態的手法を用いてヘモサイトメーターにより算出した。CD陽性細胞はCD2, CD4, CD8, CD16, CD19それにCD56モノクローナル抗体に螢光色素を結合させ, 反応後洗浄し, FACScanにて測定した。サーカディアンリズムによる白血球の日内変動が報告されているので, 温泉浴の前日と翌日において同一時間帯に採血して測定した。白血球総数, 顆粒球, リンパ球, 単球等の主要白血球亜群の増加あるいは減少に関して, 参加者間において多様な変動が示された。しかし年齢と増減に関する2要素間では有意な相関が認められた。即ち, 35歳を境界として若年層は減少的調整を又, 加齢層は増加的な調節を受けていた。この傾向は白血球亜群, 即ち顆粒球, リンパ球そして単球いずれにおいても観察された。次ぎにリンパ球をT細胞, B細胞, NK細胞に亘って精査するため, CD陽性細胞をCD2, CD4, CD8, CD16, CD19それにCD56別に網羅した結果, CD8を除くすべての陽性細胞は白血球及びその亜群同様, 年齢と細胞数増減率の間に正の相関を示した。<br>次ぎに初日の細胞数と翌日の細胞数の変動を同様に白血球, その亜群, リンパ球及び亜群別に測定した。その結果, 初日細胞数の多い被検者は減少的な調節を受け, 細胞数の少ない被検者は増加的な変動を示した。この様な調節は短期の温泉浴時にみられる metabolic rate 値; 3~4 mets と同様の歩行運動負荷時にも認められた (4km, 1時間歩行)。しかし4kmを30分で踏破する7~8 mets の負荷では調節作用は減衰した。特にCD2, CD4及びCD8のT細胞系において相違が認められた。<br>また測定初日において全白血球数の内, 顆粒球が70%以上の被検者を顆粒球型, 逆にリンパ球が40%以上を占める被検者をリンパ球型と分類し, 翌日のリンパ球亜群の変動を測定した。その結果, 顆粒球型は顆粒球の割合が著減し, リンパ球の割合が増加した。一方リンパ球型は逆にリンパ球と顆粒球が増加した。<br>初日のサイトカイン保持細胞数と翌日の同細胞数の変動を測定したところ温泉浴前後における INF-γ, IL-4及びIL-1β保持細胞数はいずれも負の相関を示し, IL-4保持細胞のそれは統計的に有意であった。

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