塩化物泉浴における血流依存性血管反応の検討

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  • Blood-Flow-Dependent Vascular Reaction in a Chloride Hot Spring Bath
  • エンカブツセンヨク ニ オケル ケツリュウ イソンセイ ケッカン ハンノウ ノ ケントウ

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抄録

はじめに : 塩化物泉は保温効果が高く、飲用を含め様々な効能があるといわれている。しかし効能の一つである動脈硬化予防や血流改善をうらづける科学的な検証は少ない。我々は早期動脈硬化の指標であるFlow-mediated vasodilation (FMD)を温泉の入浴前後に評価することで、塩化物泉入浴が血管に及ぼす影響を検討した。<BR>対象と方法 : 健常成人男女17名で平均年齢は63.4±10.9歳。前橋温泉クア・イ・テルメ(群馬県前橋市)のナトリウム-塩化物泉でおこなった。検査は入浴前と入浴後1時間に測定した。<BR>結果と考察 : 被験者全員のFMD値は入浴前にくらべ入浴後1時間で有意に上昇した。男女で比較すると、女性はFMD値が上昇したが、男性では変化がみられなかった。Body Mass Index (BMI)が25以上の症例は5例であり、5例中1例は入浴後にむしろFMD%が低下した。温泉療法による一時的なNitric oxide (NO)の増加、血管平滑筋の拡張が証明された。また、これに伴う血小板凝集抑制、平滑筋増殖抑制、白血球接着抑制、活性酸素産生抑制が血管内皮機能の改善につながる可能性を示唆した。

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