人工透析におけるスクロオキシ水酸化鉄のリン吸着効果および鉄関連値への影響

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  • Phosphorus Adsorption Effect and the Influence on Iron-Related Benefit of Sucroferric Oxyhydroxide in Dialysis
  • ジンコウ トウセキ ニ オケル スクロオキシ スイサンカテツ ノ リン キュウチャク コウカ オヨビ テツ カンレンチ エ ノ エイキョウ

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抄録

人工透析では血中のリンを除去する為に吸着薬を使用する。リン吸着薬は鉄を含有しているため,鉄過剰を起こすおそれがあり,適切な管理が必要である。近年,使用可能となったスクロオキシ水酸化鉄(SO)は従来のクエン酸第二鉄水和物(FCH)と比較し,鉄吸収が少なく鉄過剰を起こしにくいとされている。しかしわが国で実施したSOの臨床試験では,血清フェリチン(Ft)およびトランスフェリン飽和度(TSAT)が上昇傾向を示しており,FCH同様鉄過剰を起こすおそれがある。そこで,SOについてリン吸着効果と共に,鉄関連値について検討したので報告する。<br> 対象患者12例中,鉄関連値異常は3例でみられ,下痢,悪心等の有害事象は7例でみられた。24週まで服用を継続した8例において,血清リン(P)は24週で減少,FtおよびTSATは増加,ESAは減少傾向であった。Ftの変化率は,SO開始時が100ng/mL未満の5例は100ng/mL以上の3例と比べ大きかった。<br> SO投与によりPの減少および鉄欠乏を改善する傾向がみられた。また,赤血球造血刺激因子製剤の投与量減少がみられ,薬剤費削減に寄与する可能性も示唆された。一方,鉄欠乏例では3例で鉄関連値異常が認められ,約半数では投与開始後4週間で自覚症状を伴う有害事象が発現した。そのため,SOの投与はFCHと同様に鉄関連値への影響を考慮し,投与初期から臨床検査値および有害事象のモニタリングを行ない,状態に応じSOまたはESAの投与量を調節することが重要であると考えられる。

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