先天性門脈体循環シャントにより肝性脳症を呈したホルスタイン種子牛の1症例

  • 森山 咲
    帯広畜産大学獣医学研究部門 臨床獣医学分野
  • 千葉 汐莉
    帯広畜産大学獣医学研究部門 基礎獣医学分野
  • 上坂 花鈴
    帯広畜産大学獣医学研究部門 臨床獣医学分野 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 串間 宏充
    十勝NOSAI
  • 渡邉 謙一
    帯広畜産大学獣医学研究部門 基礎獣医学分野
  • 堀内 雅之
    帯広畜産大学獣医学研究部門 基礎獣医学分野 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 古林 与志安
    帯広畜産大学獣医学研究部門 基礎獣医学分野 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科
  • 猪熊 壽
    帯広畜産大学獣医学研究部門 臨床獣医学分野 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Hepatic encephalopathy caused by portosystemic shunt in a Holstein calf
  • 症例報告 先天性門脈体循環シャントにより肝性脳症を呈したホルスタイン種子牛の1症例
  • ショウレイ ホウコク センテンセイ モンミャクタイ ジュンカン シャント ニ ヨリ カンセイ ノウショウ オ テイシタ ホルスタイン シュシギュウ ノ 1 ショウレイ

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抄録

<p> 雌のホルスタイン種子牛が,76 日齢時に起立不能,意識混濁および痙攣を呈した.大脳皮質壊死症を疑い,ビタミンB1 投与,リンゲル液,生理食塩液および25%ブドウ糖液を輸液したところ症状は改善した. しかし,130 日齢時にはビタミンB1 投与中も神経症状を呈した.血清アンモニア濃度と胆汁酸濃度は、それぞれ490μg/dℓと153.2μM で,いずれも高値を示し,また哺乳2 時間後の胆汁酸濃度が上昇した.さらに,肝臓超音波検査では,後大静脈に並走する異常血管およびその合流地点に乱流を認めたため,先天性門脈体循環シャント(portosystemic shunt;PSS)による肝性脳症を強く疑った.病理解剖により,肝外性のPSS が確認された.また,病理組織学的検索では中枢神経の白質に空胞形成が認められた.以上のことから,本症例はPSS による肝性脳症と確定診断された.牛ではPSS の発生は極めてまれだが,大脳皮質壊死症を疑わせるような神経症状を呈する子牛では,鑑別診断リストにPSS を加えるべきであると考えられた.</p>

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