各種の血清添加がニワトリ始原生殖細胞に与える影響

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タイトル別名
  • Effects of various serum supplementation on chicken primordial germ cells

抄録

<p>【目的】始原生殖細胞(PGCs)は,胚発生の初期より体細胞の細胞系譜から独立して出現し,配偶子形成のために存在する細胞である。ニワトリのPGCsは放卵直後のステージXで胚盤葉上層に散在し,発生の進行に伴い血管内に進入し,血流に乗って生殖隆起(GR)に移動定着する。鳥類では,ある種の化学物質によりPGCsが生殖巣に誘導されると報告されているが,詳細には解明されていない。当研究室では,血清の種類を変えてマウスのGRを培養すると,一度定着した球状のPGCsがアメーバ様に変化して再び遊走することを報告している。そこで本研究では,ニワトリGRでも添加する血清を変えることでPGCsが遊走するかを検討した。【方法】実験には小岩井農牧より入手した白色レグホン種の種卵を6.5日間孵卵して作出した胚のGRを用いた。DMEMに10%ヒナ血清(A区),10%FBS(B区),10%BS(C区)を添加してそれぞれの区でGRを7日間培地交換を行わずに器官培養した。ニワトリGR中のPGCsは抗SSEA-1抗体と抗CVH抗体を用いて免疫組織化学的に観察した。また,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれらの形態を詳細に観察した。【結果】A区では多数のPGCsがGRから遊走していることが観察された。これは,ニワトリGRをとりまく培養環境が生体内の環境に近いために,PGCsがヒナ血清の何らかの因子に誘引されたためと推察される。観察された細胞はどれも球形で,仮足を伸ばした細胞は観察できなかったが,扁平な形をした細胞がいくつか観察された。また,B区でもGRの膜表面から遊走しているPGCsが観察されたが,A区と比べて数は少なく,仮足を伸ばした細胞は観察されず,どれも球形を示していた。一方,C区ではGRが崩壊し,PGCsは遊走せず,細胞はどれも球形であった。したがって,ニワトリPGCsは添加血清の種類によって形態が変化する可能性がある。なお,SEMでも,C区以外でPGCsに類似した細胞が観察され,現在詳細に検討している。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282752332525824
  • NII論文ID
    130007719335
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-65
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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