老化関連因子IL-1αやIL-1βがウシ卵管上皮細胞の炎症応答に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Aging related factors IL-1α and IL-1β influences inflammatory response in bovine oviduct epithelial cells

抄録

<p>【目的】老化細胞は炎症を誘導する分泌因子(IL-1β,IL-8やTNFα)を高発現し,加齢性疾患に関与する。私達は,若齢のウシ卵管上皮細胞(OEC)と比較し老齢でIL-1αやIL-1β発現が高く,慢性炎症が起きることを報告した。本研究ではIL-1αやIL-1βがOECの炎症応答や細胞老化に及ぼす影響を検討した。【方法】食肉センターの黒毛和種の30–50ヶ月齢を若齢,120ヶ月齢以上を老齢と区分し,卵管からOECを単離した。実験1:IL-1sをOECに添加し,細胞老化度(SAβGal)を比較し,IL-8分泌量,IL-8 mRNA発現量,老化関連因子(p16やp21)や細胞接着因子(ICAM等)のmRNA発現量を測定した。実験2:IL-1sによるOECの活性酸素種(ROS)産生を調べた。また,ROS阻害剤をOECに添加しIL-1s誘導性IL-8分泌量を測定した。実験3:IL-1sを添加したOEC上清でウシ末梢血多核球(PMN)の遊走性を検討した。またIL-1sを前処理したOECとPMNを共培養しOECへの接着性を検討した。【結果】IL-1s添加でSAβGal活性,p16やp21 mRNA発現量に変動はなかった。IL-1s添加で両OECのIL-8分泌量,IL-8やTNFα mRNA発現量が増加したが,増加度に違いはなかった。OECにIL-1sを添加するとROS産生が増加し,ROS阻害剤をOECに前処理するとIL-1s誘導性IL-8分泌が軽減した。細胞接着因子であるICAM mRNA発現量はIL-1s添加で上昇した。IL-1sを添加したOEC上清により,特に老齢でPMN遊走性が高まった。IL-1sを前処理したOECとPMNの共培養で,PMNの遊走性や接着性が強まった。以上より,ウシ卵管ではIL-1sがROS産生を介しOECの炎症を引き起こすが,細胞老化には関与しないことが分かった。また,IL-1s処理のOECでは細胞接着因子が増加し,PMNの遊走や細胞接着性を高め,炎症を促進する可能性が考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282752334173952
  • NII論文ID
    130007719150
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_or2-13
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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