採卵したマウスを再利用可能にする最適条件の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Reusability of mice after collection of oocytes by operation
説明
<p>【目的】希少動物や貴重な遺伝子組換え動物などの卵子を用いる研究において,採卵対象の個体を殺すことなく手術により採卵(手術採卵)することが可能となれば,限られた実験材料をより有効に活用可能となる。そこで,本研究ではモデル実験としてICR系統のマウスを用い,手術採卵後の再利用の可否とその最適条件の探索を行った。【方法】手術採卵 過排卵処理を施した雌マウスを用意し,アバチンあるいは三種混合で麻酔したのち背側から卵巣と卵管を露出させ,マイクロ剪刀を用いて卵管膨大部の下部に切り込みを入れ,ピンセットにより卵丘卵子複合体を摘んで取り出した。その後,体内に卵巣,卵管を戻し,腹膜,皮膚を縫合した後,覚醒させた。実験1 手術採卵した卵子と従来法で採取した卵子(安楽死後に採取:通常採卵)について,採卵数,IVF,ICSI,ROSI後の受精率と胚盤胞発生率,および産仔率について比較した。実験2 手術採卵を行った雌マウスに対し,術後10,20,30日目に再び過排卵処理を行い,採卵数および卵子の質について実験1と同様に比較した。【結果と考察】実験1 手術採卵と通常採卵とでは,排卵数,受精率,胚盤胞発生率および産仔率はすべての区において差は無く,また2種類の麻酔薬間でも差はなかったことから,採卵における手術の影響はないと判断できた。実験2 手術採卵により卵管が塞がるために,術後全期間において70%程度の卵管からは再採卵が不可能であった。しかし,再採卵に成功した卵子では術後全期間において胚盤胞発生率はIVFで80%以上,ICSIで70%程度,産仔率はIVFで60%程度,ICSIで50%程度となり,通常採卵と比べて悪影響は見られなかったため,問題なく実験に使用可能だと考えられた。今後は手術採卵後の雌マウスについて,卵巣から未成熟卵を採取後,体外成熟実験への利用や,子宮への胚移植の際の代理出産母としての利用が可能かを確認していく予定である。</p>
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 112 (0), P-115-P-115, 2019
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282752334187648
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- NII論文ID
- 130007719242
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可