妊孕性温存手術を行い,その後に自然妊娠に至ったfemale adnexal tumor of probable Wolffian originの1例

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タイトル別名
  • A case of female adnexal tumor of probable Wolffian origin treated with fertility-sparing surgery thereafter, the patient attained spontaneous pregnancy
  • 症例報告 妊孕性温存手術を行い,その後に自然妊娠に至ったfemale adnexal tumor of probable Wolffian originの1例
  • ショウレイ ホウコク ニンヨウセイ オンゾン シュジュツ オ オコナイ,ソノゴ ニ シゼン ニンシン ニ イタッタ female adnexal tumor of probable Wolffian origin ノ 1レイ

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抄録

<p>Female adnexal tumor of probable Wolffian origin(以下,FATWO)はWolff管遺残組織由来と考えられ,子宮広間膜や卵管間膜に好発するまれな腫瘍である.FATWOは2016年7月に改訂された卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約では,その他の境界悪性腫瘍に追加された.多くの症例で良性の経過をとるが,再発や転移を生じた症例も報告されその治療法は確立されていない.われわれは妊孕性温存手術を行い,その後自然妊娠に至ったFATWO症例を経験したため報告する.症例は35歳,0妊0産,既往歴に気管支喘息を認めた.家族歴,飲酒歴および喫煙歴に特記事項はなかった.腹部膨満感および腰背部痛を主訴に受診.内診でダグラス窩に硬く可動性がやや不良な腫瘤を触知し,骨盤造影MRIで径7.5&#x2005;cmの腫瘤を子宮の左背側に認めた.T1強調像で子宮筋層より軽度高信号,T2強調像で淡く高信号であり,拡散強調像でも高信号を呈し,均一に良好に造影を受けていた.変性した漿膜下子宮筋腫の可能性を考慮し腹腔鏡下筋腫核出術の予定とした.腹腔鏡で観察すると左卵巣とは離れて左卵管間膜に鵞卵大の腫瘤を認めたため腫瘍摘出術とした.病理所見では,均一な中型の異型立方~円柱上皮細胞が管状ならびに索状に増殖していた.細胞質は比較的淡明で,核は円形・楕円形で中心性を呈していた.免疫組織化学的染色所見でcalretinin,CAM5.2,Androgen receptor,CD10,AE1/AE3が陽性でありFATWOと診断した.初回手術より3カ月後に妊孕性温存手術として腹腔鏡下左付属器摘出術を行った.術後追加治療は行わず再発なく経過し,術後1年3カ月で自然妊娠に至っている.FAWTOについて臨床的悪性度の判断は困難で,若年者の手術の際には妊孕能温存が検討されるが術後長期にわたる慎重な経過観察が必要である.〔産婦の進歩71(3):259-267,2019(令和元年8月)〕</p>

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