レボドパがパーキンソン病の進行に与える影響は正か負か?

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説明

ドパミン前駆物質であるレボドパはパーキンソン病の運動機能障害に対して最も有効な治療薬である.パーキンソン病の初期治療に関しては,QOLを考慮すると,できるだけ早期から薬物治療を開始することが推奨される.しかし,レボドパについては,長期の高用量使用によりウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が出現しやすいことに加え,理論上神経毒性を有し,パーキンソン病の進行を早めることが危惧される.このため,レボドパの開始時期に関する明確なエビデンスが求められている.そこで,臨床におけるレボドパの神経毒性を評価するためにELLDOPA試験が行われた.この結果,臨床データからレボドパはパーキンソン病の進行を促進せず,むしろ抑制する疾患修飾性を有する可能性が示された.ただし神経画像データからは,レボドパがドパミン作動性神経終末の欠損を促進することが示唆され,臨床評価と画像評価が矛盾する結果となった.<br>本稿では,ELLDOPA試験で示唆されたレボドパの疾患修飾効果を明らかにすることを目的としたLEAP試験の結果を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Fahn S. et al., N. Engl. J. Med., 351, 2498-2508(2004).<br>2) Verschuur C. V. M. et al., N. Engl. J. Med., 380, 315-324(2019).<br>3) Leber P., Alzheimer Dis. Assoc. Disord., 10(S1), 31-35(1996).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 55 (10), 983-983, 2019

    公益社団法人 日本薬学会

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