乳び尿を呈した同一患者の継続的な検尿から得られた知見

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タイトル別名
  • Information obtained from continuous urinalysis of patients with chyluria

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説明

<p>乳び尿は,尿路とリンパ管の交通を疑う主な所見である。しかし,乳び尿を呈さない場合には,尿路とリンパ管の交通を疑うことは難しい。今回,尿路とリンパ管の交通が確認された患者の継続的な検尿から,いくつかの知見を得たので報告する。症例は,腎生検のため入院となった70代男性。入院時の尿検査では,尿蛋白(3+),尿中白血球数10–19個/HPFのうちリンパ球を約9割認めた。尿の外観は,遠心前後共に淡黄色混濁を呈し,エタノール・エーテル添加により混濁が透明化したため,乳び尿と判断した。その後の膀胱鏡検査においても乳び尿の流出を認め,乳び血尿症と診断された。入院中の早朝空腹時尿は淡黄色透明を呈していたが,食後尿では乳び尿となり,この乳び尿は食事の影響を受けることを確認した。また,尿蛋白/Cr比は,尿中リンパ球数が1–4個/HPF以下では0.41 g/gCr~0.82 g/gCrに,尿中リンパ球数が5–9個/HPF以上では1.63 g/gCr~5.25 g/gCrとなり,尿中リンパ球数に連動した尿蛋白/Cr比の増減がみられ,リンパ液の混入量による影響を推測した。乳び尿は,食事の影響を受けその外観が変化する。そのため,尿の外観に左右されない尿中リンパ球の増多や尿中リンパ球数と尿蛋白/Cr比の連動も,尿路とリンパ管の交通を疑う重要な所見になると考える。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (4), 769-775, 2019-10-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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