ストレス解消入浴法は体温を1.1℃上げる

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タイトル別名
  • Raising body temperature by 1.1℃ during bathing decreases stress
  • ストレス カイショウ ニュウヨクホウ ワ タイオン オ[1.1]℃ アゲル

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説明

<p>背景・目的 入浴の目的は、身体の清浄、温熱、疲労回復等が主で、中でもリラックスすることへの期待が大きい。リラックスする入浴法として、ぬるめの湯に入浴し副交感神経活動を優位にすることが知られている。また、入浴剤使用によりリラックスすることの報告も多い。しかし、若年者と高齢者では暑熱刺激に対する反応が異なることが知られており、各年代に応じたリラックスするための入浴法は示されていない。そこで、若年者から高齢者までの男女を対象として、リラックスするための入浴法を提案することを目的に、入浴時の体温の変化量と唾液アミラーゼ活性値から検討した。</p><p>方法 20から69歳までの男女58名を対象に、日常の入浴習慣や健康状態等について質問した後、40℃の湯に15分間の全身入浴を行い、浴後30分間安静に保った。試験開始から終了までは、5分毎に舌下温度を測定し、試験前と終了時に唾液アミラーゼ活性値測定および主観評価を行った。</p><p>結果 入浴15分後の体温の変化量をもとに、低値群・中央群・高値群の3群に分け、唾液アミラーゼ活性値の変化との関連を解析した。その結果、試験後の唾液アミラーゼ活性値は、体温変化が1.14℃上昇した中央群のみ低下し、主観評価のリラックス感も他群と比較し有意に高かった。また、体温変化が1.62℃上昇した高値群は、他群と比較し有意に息苦しさを感じた。入浴による体温の変化量への影響は、年齢と有意な負の相関を認め、性別では、男性が女性と比較し有意に体温上昇が高かった。</p><p>考察 唾液アミラーゼ活性値は交感神経活動由来のストレス指標である。中央群でのみ入浴後に唾液アミラーゼ活性値が有意に低下した。このことより、入浴時の体温が約1.1℃上昇することがリラックスするのに適した入浴法であり、体温が約1.6℃上昇すれば息苦しさを感じることが示唆された。そこで、年代および性別にリラックスすることができる入浴時間を推定することができた。リラックスに適した入浴時間を知ることは、入浴の効果を実感することができるばかりでなく、安全な入浴にも繋がると考えられる。</p>

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