「富士山まなびの森」における人工林風倒被害跡地への広葉樹林再生の試み

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タイトル別名
  • Restoration of broad-leaved forest in the windfall site of "Fuji-san Manabi-no-Mori"

抄録

<p> 1996年の台風によって大規模な風倒被害を受けた富士山南麓の国有林の一部では,針葉樹を再植林せずに,富士山に自生する広葉樹を植栽しつつ,できるだけ自然の遷移を利用して地域本来の森林植生を再生させる試みが行われている.その過程を記録するため,広葉樹(ケヤキ,ブナ)が植栽された2ヶ所と,植栽を行わなかった1ヶ所に調査区を設置し,2000年以降ほぼ3年ごとに,植栽木と天然生稚樹の生育状況を追跡調査した.各調査区とも,植栽した樹木よりも埋土種子由来とみられる天然生稚樹の成長が良好で,風倒被害から約20年でたった現在では,ミズキ,ホオノキ,エゴノキを中心とした林冠が形成されつつある.初期にはキハダ,ミズキが多数発生したが,低木層の高さを超えられずに枯死するものが多く,生存率の高かったホオノキやエゴノキの優占度が相対的に増加した.これらの稚樹の発生位置は,風倒木の搬出後に意図的に積み残した放置枝条の周辺に偏在しており,この方法は埋土種子の発芽誘導と生残に有効であった.また,初期に発生数の多い樹種が林冠を構成するわけではなく,ススキや低木との競争によって,林冠構成種が決まっていく過程が明らかになった.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763012011904
  • NII論文ID
    130007376162
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_565
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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