NK/T細胞リンパ腫治療の現状と展望

  • 山口 素子
    三重大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Treatment of NK/T-cell lymphoma: current situations and prospectives
  • NK/Tサイボウ リンパシュ チリョウ ノ ゲンジョウ ト テンボウ

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抄録

<p>2000年以前では,節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type; ENKL)の治療はCHOP療法などanthracyclineを含む化学療法が主体であり,その治療成績は不十分であった。2000年代の初頭から,anthracyclineを含まない次世代の治療法が臨床試験で開発され,ENKLの治療を大きく変えた。日本での後方視的研究(NKEA Part A)はENKL診療の現状を明らかにした。2010~2013年に国内31施設で診断された限局期ENKL患者の66%において,同時併用化学放射線療法(RT-DeVIC療法)が初回治療として選択されていた。日常診療でRT-DeVIC療法が行われた限局期ENKL患者150人の5年生存割合は72%,5年無増悪生存割合は61%であり,臨床試験時と同様であった。さらに,NKEA研究は現在のENKL治療のいくつかの限界を明らかにした。今は次世代治療を超える有効な治療を開発すべき時である。各国の長所を生かした国際協同がENKL治療の進歩に貢献する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 59 (5), 588-593, 2018

    一般社団法人 日本血液学会

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