男性性実践としての男性の暴力行為

  • 尾﨑 俊也
    大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • Violence as “doing masculinity”: What Does Using Messerschmit’s Structured Action Theory Clarify?
  • 男性性実践としての男性の暴力行為 : メッサーシュミットの構造化された行為理論によって何が明らかにされ得るか
  • ダンセイセイ ジッセン ト シテ ノ ダンセイ ノ ボウリョク コウイ : メッサーシュミット ノ コウゾウカ サレタ コウイ リロン ニ ヨッテ ナニ ガ アキラカ ニ サレ エル カ
  • ―メッサーシュミットの構造化された行為理論によって何が明らかにされ得るか―

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抄録

<p>本稿は、社会学的行為理論の枠組みから男性性概念を用いて男性のDVや性暴力を研究しているメッサーシュミットから知見を得て、暴力行為と男性性の関係を明らかにすることを目的とする。行為理論の枠組みから、男性の暴力行為がどのように理解されうるのかは大きく問われてこなかった。他方、犯罪心理学の分野において、男性の暴力行為の原因が個人の病理的な特性や性衝動に回収される傾向にあった。そのなかで、メッサーシュミットの研究からは、暴力行為に極めて社会的な過程があることが理解できる。メッサーシュミットは暴力行為の社会的意味が暴力行為者にとって重要なものであり、暴力行為を通じて、男性性が実践される側面を解明した。この意味で、われわれの社会が構築してきた男性性が、暴力加害に作用していると言える。男性の女性に対する暴力については、支配的な男性性をめぐる男性同士の社会的な闘争で周縁化された男性が、女性に対する暴力を行使することで、支配的な男性性を実践する社会過程があると分かった。さらに、性暴力は異性愛に特徴づけられた男性性を行為することを通じて、より支配的な男性性を実践できる傾向にあることも読み取れた。このように、女性に対する男性の暴力が発生する背景に、社会的に構築された男性性があり、また性的な意味を経由することで、よりその支配性が暴力行為者によって見出されるのである。</p>

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