アンチエイジングへの挑戦

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タイトル別名
  • 医学・医療のトピックス アンチエイジングへの挑戦 : 平衡覚
  • イガク ・ イリョウ ノ トピックス アンチエイジング エ ノ チョウセン : ヘイコウカク
  • 平衡覚

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抄録

<p> 高齢者においては, めまいの有訴者率が高率になることが報告されている. 高齢者におけるめまい・平衡障害は, 転倒のリスクファクターの一つである. 高齢者によくみられる大腿骨近位部骨折の74%は転倒が原因とされる. 高齢者の ADL(activity of daily living) を極端に低下させることがある転倒を予防する上でも, 高齢者のめまい・平衡障害に対する理解と, これに対する適切な対応が重要である. 末梢前庭系における加齢変化は耳石, 有毛細胞から前庭神経まで前庭器全体に及ぶ. 眼では調節力の低下, 網膜感度の低下などが生じる. 体性感覚も加齢変化を受ける. 前庭神経核や舌下神経前位核, 前庭小脳などで構成され, 視覚情報, 体性感覚情報, 前庭感覚情報を統合処理している neural store (神経積分器の一種) や大脳, 多モダリティ感覚領域である頭頂―島前庭皮質 (parieto-insular vestibular cortex: PIVC) や頭頂連合野の VIP 野 (ventral intraparietal area) にも加齢変化が生じる. 高齢者のめまい・平衡障害の病態の把握には, “平衡感覚システム全体” の理解が必要となる. 加齢によるめまい・平衡障害の予防法は確立しておらず, 前庭動眼反射 (vestibulo ocular reflex: VOR) などを鍛えるめまいリハビリテーション (前庭訓練), 体性感覚を鍛える足底刺激, 下肢筋力を鍛える訓練 (加圧) などが行われている. めまいリハビリテーションの目的は前庭代償の促進である. 平衡感覚の維持に用いられている視覚情報, 体性感覚情報, 前庭感覚情報の各入力系に, 個々に生じた加齢変化の個体差や時間差による, “情報間のミスマッチ” を是正するようなパラダイムが用いられる. われわれは, 体性感覚入力が VOR の利得ならびにその可塑性に与える影響について検討を加えている. これまでの, 視覚入力を主体とした手法に加え, 体性感覚などほかの感覚入力を積極的に活用して行うめまいリハビリテーションの有用性を示唆する結果を得ている.</p>

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